「わっ」と声出た2秒後 逆走自転車はね、心に傷を負った運転手
自転車の交通事故は、被害者はもちろん、加害者側の人生も大きく変える。
2025年の自転車乗車中の死亡事故では、8割近くに自転車側にも違反があったという。
車道を逆走する違反自転車をはねて死亡させたトラック運転手は、いまも自問自答している。
「避けられない事故だったのか」【菅野蘭】
今回の記事では、自転車との事故の当事者となった車側に目を向けました。
悪質な自転車の運転は、さまざまな人の人生を左右します。
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ヘッドライトに照らされた自転車
冬の早朝で、辺りはまだ暗かった。
25年12月3日の午前5時40分ごろ。会社員の男性(39)は、東京都大田区の臨海部で中型トラックを走らせていた。
物流拠点で野菜を積み込み、いつものルートで配達先の銀座に向かっているところだった。
都内に住み、トラックの運転歴は15年ほど。無事故の優良ドライバーだった。
そのときは、片側3車線の幹線道路を走っていた。首都高速道路に入るため、高速の入り口につながる一番右の車線へ移動した。その入り口まで、300メートルほどだった。
突然、背を丸めて自転車をこぐ高齢男性の姿がヘッドライトに照らし出された。
「わっ」
驚いて声を上げた。ブレーキは間に合わず、衝撃音が響いた。正面衝突だった。
トラックのフロントガラスにひびが入った。その様子から、自転車の男性の命は助からないだろうと感じた。
無灯火で、車道を逆走していた自転車だった。
「なぜ自転車があそこに」
駆けつけた警察官に、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕された。
路面に倒れた自転車の男性に意識はなく、…
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