広島原爆で犠牲となった米兵捕虜を独自調査で明らかにした歴史研究家で、14日に88歳で亡くなった被爆者の森重昭さんのお別れの会が24日、広島市中区の広島国際会議場で開かれた。被爆者ら約150人が参列し、森さんの功績をしのんだ。
森さんは広島市で生まれ、8歳で爆心地から約2・5キロで被爆。会社勤めの傍ら1970年代から約40年間、被爆死した米兵捕虜について独自に調査した。2016年には、現職の米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領(当時)と対面し、抱擁した写真が国内外に配信された。
お別れの会で広島市の松井一実市長は「オバマ大統領との抱擁は世界中の人の胸を打ち、ヒロシマの心を広く知ってもらう契機になった。森さんの遺志を受け継ぎ、武力ではなく対話によって世界が平和に歩みを進めるように被爆の実相や核兵器の非人道性を世界に訴えていきたい」と弔意を述べた。
参列者は献花台に花や折り鶴をささげ、県原爆被害者団体協議会の箕牧(みまき)智之理事長は「森さんから毎年、年賀状をもらい活動を応援する言葉をかけてもらった。晩年はつえをつきながら取り組む姿が印象に残っている。被爆者は高齢化するが森さんの遺志を受け継いでいくと伝えたくて来た」と語った。
英語での証言活動を続けてきた被爆者の小倉桂子さん(88)は「ヒロシマをどうやって世界に伝えたらいいか森さんと何度も話した」と振り返り、献花台に掲げられた森さんの写真に向けて、「こんなに急に亡くなり、まだやりたいことがあったでしょう。相手の悲しみを自分の悲しみにするという難しいことを、天国でも多くの人に伝えてください」と語りかけた。
森さんの死後、妻佳代子さん(83)と長男佳昭さん(53)は、森さんの活動を伝え、調査を継続するため「歴史家森重昭のホームページ」を開設した。お別れの会で佳代子さんは「夫は調査を通じ、原爆の悲劇に国境はないと伝えてきた。多くの人が平和の大切さを共有してもらえるように遺志を受け継ぎたい」とあいさつした。【関東晋慈】
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