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今週の本棚

「面白い!読ませる!」と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。

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星野智幸・評 『不死の島へ』=クリストファー・プリースト著、古沢嘉通・訳

 (東京創元社・2750円)

虚構のメビウス構造に自己を見失う

 まだインターネットさえ一般には存在しない1981年に書かれた本作は、AI時代における自己の不確実さを先取りした、先駆的SF小説である。

 ロンドンに暮らすピーター・シンクレアは、29歳の年に、父親も仕事も住まいも恋人のグラシアも同時に失うという危機に見舞われ、自分を立て直すべく、修繕するという条件で借りた小屋に引きこもる。

 ピーターは、アイデンティティー・クライシスを脱しようと、自分史を書くことに没頭。3度目の書き直しで、自分以外の人物も場所も架空のものに置き換え完璧にフィクション化することで、高次元の真実に到達できることを発見。あと数ページで完成する間際まで書き進める。

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