「対馬丸」繰り返すのか 田島征彦さんが新作絵本で投じる一石

新作絵本「ガージュー先生 対馬丸事件を生きぬいた少女の物語」の原画を前にする田島征彦さん=京都市中京区で2026年4月14日午後2時33分、上村里花撮影
新作絵本「ガージュー先生 対馬丸事件を生きぬいた少女の物語」の原画を前にする田島征彦さん=京都市中京区で2026年4月14日午後2時33分、上村里花撮影

 最後の“宿題”の提出期限が早まった。

 「啓子(けいこ)さんの生涯をかけた訴えが軽んじられている」と感じたからだ。

 型絵染めの技法を駆使する絵本作家、田島征彦さん(86)の新作「ガージュー先生 対馬丸事件を生きぬいた少女の物語」(童心社)には世界の現状への怒りや、未来への思いがにじむ。

疎開船の悲劇、取材を積み重ね

 第二次世界大戦末期の1944年8月22日、米軍上陸で地上戦が始まるのを見越し、沖縄から本土に避難させる子どもや引率教員らを乗せた疎開船・対馬丸は、長崎へ向かう途上、鹿児島・トカラ列島の悪石島沖で米潜水艦の魚雷を受けて沈没した。

 乗船していた約1800人のうち、判明しているだけでも1484人が命を落とした。

 子どもに根強い人気を誇る「じごくのそうべえ」シリーズなどを手がける田島さんは78年以来、半世紀近く沖縄に通い続けている。

 沖縄戦や米軍基地問題を描いた「てっぽうをもったキジムナー」(96年)や、講談社絵本賞を受けた「なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語」(2022年)といった作品の刊行を重ねてきた。

 常に「子どもにどのように物語を届けるか」と腐心してきた田島さんにとって、沖縄での戦争を子どもに伝える上で、この「対馬丸事件」は避けて通れなかった。

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