中国政府は5月1日からアフリカ諸国に対する関税免除措置を国交のある53カ国全てに拡大する。豊富な資源を持つアフリカとの連携強化は、経済のみならず、安全保障面でも重要な一手と言えそうだ。
中国政府は2024年12月までにアフリカの最貧国33カ国に対して関税を免除済み。1日から、新たに南アフリカやケニアなど最貧国ではない20カ国も追加した。アフリカで唯一、台湾と外交関係を持つエスワティニは対象外となり、今回の措置は台湾の孤立化を狙った側面もある。
中国メディアによると、中国側が失う関税収入は年間14億ドル(約2240億円)の見込み。世界に関税戦争を仕掛ける米国との違いを強調し、「責任ある大国」のイメージを打ち出すことができれば惜しくないコストだと計算した模様だ。
今後も人口拡大が見込まれるアフリカは「最後のフロンティア」と呼ばれており、中国はその成長を自国経済に取り込む戦略を描く。レアアース(希土類)や石油などの資源が豊富であり、日米欧も接近を図っているところだ。
中国は17年連続でアフリカ最大の貿易相手国であり、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて資源開発や貿易を拡大してきた。25年の貿易総額は3480億ドル(約55兆円)。これは日本の対アフリカ貿易の約18倍の規模に相当する。
一方、近年はアフリカ諸国の間に、膨らみ続ける対中貿易赤字への反発が募っていた。25年の中国のアフリカへの輸出は前年比25・8%増と急拡大したが、輸入は同5・4%増にとどまった。アフリカの対中貿易赤字は19年比で5・7倍になっており、25年に訪中した南アフリカの要人は「活発ではあるが、極めて不平等な貿易関係」と是正を求めていた。
中国が関税免除を拡大した背景には、アフリカ側の不満を沈静化する狙いもあるとみられる。中国商務省の担当者は29日の声明で「貿易の均衡や持続的な発展を後押しし、中国とアフリカ双方が受益者になれる」と強調した。ただ、中国は消費低迷で輸出頼みの経済と化しており、関税免除がアフリカからの輸入増による貿易摩擦緩和につながるかは不透明だ。【北京・河津啓介】
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