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水俣病

1956年に公式確認され「公害の原点」といわれる「水俣病」。高度経済成長期に未曽有の被害と差別を生み、救済の訴えは今も続く。

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金高騰の陰で広がる水銀汚染リスク 消費者も問われる水俣の教訓

金鉱山の真っ暗なトンネルの中で岩を掘る少年=フィリピン・ベンゲット州イトゴンで2017年8月12日、川平愛撮影
金鉱山の真っ暗なトンネルの中で岩を掘る少年=フィリピン・ベンゲット州イトゴンで2017年8月12日、川平愛撮影

 公式確認から70年を経てなお人々を苦しめる水俣病の苦い経験は、水銀による健康被害や環境汚染を防ぐ国連の「水銀に関する水俣条約」につながった。

 「水俣病の問題が長い間解決しない状況で、世界で同じ失敗を繰り返してはいけない。その思いが反映された」。交渉官として条約作りに関わった元環境省水・大気環境局長の早水輝好さんは、2013年に熊本市で開かれた外交会議で採択された意義をそう語る。

「水俣条約」生まれるまで

 早水さんによると、10~13年の政府間交渉委員会の早い段階で、条約を採択する会議を日本で開くことに各国が合意した。条約の名称には、採択した会議の開催地名を冠するのが一般的だ。

 「他国からの反対はほぼなかった。国内では名称を『水俣条約』とすることに賛否はあったが、結果的に水俣のことを世界中に知ってもらうきっかけになった」と振り返る。

 条約の基本理念を示す前文には「水俣病の重要な教訓を認識し、将来において同様の事態を防止する」と明記された。

 条約は17年に発効。現在、日本を含め153カ国・地域が参加し、各国で水銀排出を減らす取り組みが進む。

 日本でも、水銀を含む電池や血圧計、家庭用蛍光灯など18品目の廃止が決まった。今後、歯の治療に用いられる合金「アマルガム」も加わる予定だ。

なくならない水銀汚染、原因は…?

 しかし、製品規制による水銀排出の抑制効果は限定的と言える。今も世界で水銀による健康被…

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