9条改正目指す高市首相 武器輸出「5類型」撤廃は前さばきか
3日で施行から79年を迎える日本国憲法は、基本原理の一つ「平和主義」の領域で、大きな岐路を迎えている。高市早苗政権は先月21日、平和主義を具現化する政策の一つである武器輸出の「原則禁止」を「原則容認」へと転じる決定を行った。高市首相は、戦争放棄と戦力不保持、交戦権否認を規定し、平和主義の根拠条文となっている9条改正にも強い意欲を示す。こうした状況に私たちは今、どのように向き合えばよいのか。【竹内望】
首相、衆院選「圧勝」の流れで自信
「長年にわたり、手が付けられてこなかった課題に正面から取り組む」
今年1月19日夕、首相官邸の記者会見室。えんじ色のカーテンを背後に引いた演台に立つ高市早苗首相は、同月23日召集の通常国会冒頭の衆院解散を表明する中で、憲法改正についてこのように語った。ただ、それがどの部分の改正かはまだ示さなかった。
自民党内で長年、積極的な安全保障政策を唱える「タカ派」を担ってきた首相。同じタカ派路線をけん引し、通算在任日数で憲政史上最長期の政権を築いた安倍晋三元首相の後継を自任する。その安倍氏がやり遂げることのできなかった憲法改正の実現にはひとかたならぬ熱意を持つ。
首相は衆院解散表明の会見で、責任ある積極財政への転換や安全保障政策の抜本強化などを挙げて「国論を二分するような大胆な政策」に挑戦するとも付言。取り方によっては国民の「分断」を辞さないとも聞こえる。ただ、実際の選挙戦では何をもって「二分」するのか、具体的に語る場面はほとんどなかった。
だが、2月2日に訪れた新潟県上越市での演説で、当地に陸上自衛隊の駐屯地があることに触れ、「彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも当たり前の憲法改正をやらせてほしい」と言及。自民が「自衛隊違憲論」解消のために必須だと訴える憲法9条改正への意欲を明らかにした。
この演説が行われた前週末には報道各社による衆院選の情勢調査が報じられていた。毎日新聞の「自民、単独過半数視野」をはじめ、与党で300議席(定数465)を超えるとの予測もあり、軒並み「自民圧勝」の流れを伝えるものだった。
首相の9条改正への言及は、公示前議席の少数与党状態からの脱却への自信と確信を持った上での発言だったことは明らかだ。
選挙結果はふたを開けてみれば、自民が公示前議席から大幅に増やし、単独で戦後初めて3分の2を超える316議席を獲得。参院で「改憲勢力」を糾合、あるいは2028年参院選での勢力伸長で3分の2議席を得れば、憲法改正が視野に入ってくる。
「憲法の死文化」への展開
衆院選圧勝を受けて高市政権が本格着手した「国論を二分する」…
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