夫と娘を残して初めての国外出張 夫の試練と私の気づき
車いすユーザーの夫、諏訪正晃(40)は3月15日、私(記者、40歳)のいなくなった自宅の居間で、開けっぱなしになった窓を恨めしそうに見上げていた。私がハンガリー総選挙(4月12日)の事前取材のために出張に行ったため、夫は1歳の娘の面倒を5日間1人でみることになった。試練とも言える娘との二人っきりの日々をいかに乗り切ったのだろうか。
<主な内容>
・2人きりで大丈夫?
・乗り切るために決めたルール
・夫を最も悩ませたこと
・頼りになるのは
赴任して2年、これまで国内出張の経験はあったが、国外出張、それも3泊以上の出張は初めてだった。私がベルリンをたったのは3月14日。出張への緊張はもちろんあったが、正直に言えば、夫と娘を2人きりで残す不安のほうが勝った。
出張後、夫に話を聞くと私の心配は杞憂(きゆう)ではなかったようだ。
翌15日に早速トラブルが起きていた。私が居間の窓を開けっぱなしにしたまま出張に行ったせいで、室内は冷え込んだ。この日のベルリンの最高気温は7・2度。窓を閉めようにも、高い位置にある窓の開閉ハンドルには、車椅子からでは手が届かない。
挙げ句の果てに、窓辺に置いてあった花瓶が風で倒れて割れ、床にガラスが散乱した。
幸い、日曜日で保育園のないこの日だけは、夫が息抜きできるようベビーシッターを頼んでいた。ちょうど居合わせたベビーシッターが一緒にガラスを片付けてくれて、窓も閉めてくれた。
16日は保育園の登園日だった。ドイツの保育園は朝ご飯を出してくれるので、夫の気も楽だった。
起床して元気に走り回る娘を捕まえて着替えさせ、膝に乗せて腹巻きで体同士を固定する。いつもの登園スタイルで車椅子で一緒に保育園に向かう。
「元気? 今日もかわいいわね」。たまにすれ違う、名前も知らない近所の初老の女性とあいさつした。娘も最近覚えた「チュー(さようなら)」を言いながら手を振る。気さくでゆるやかな交流があるのはベルリンのいいところで、「何かあっても誰かが助けてくれる」と安心感をもたらしてくれた。
ただ夫によると、この朝は恐れていた「あること」の兆候があり、ひやりとしたという。
脚に一…
この記事は有料記事です。
残り1034文字(全文1937文字)