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この国はどこへ行こうとしているのか

「エネルギー界の賢人」が説く 半世紀変わらぬ日本の脆弱性とは

再生可能エネルギーの現状について話すエイモリー・ロビンス博士=東京都千代田区で2026年3月11日、小林努撮影
再生可能エネルギーの現状について話すエイモリー・ロビンス博士=東京都千代田区で2026年3月11日、小林努撮影

 令和の時代にこんなことが起こるのか。経済や暮らしに影を落とす「石油危機」である。

 米国のイラン攻撃に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖は、原油調達の9割超を中東に頼るこの国の弱点を浮き彫りにした。

 「ブラックスワン」(予測不能な極端事象)になぞらえる識者もいるが、そうだろうか。

障壁は技術でなく政治

 「1970年代に2回起きたオイルショックから日本の脆弱(ぜいじゃく)性は本質的に変わっていませんね。同様の危機はこれからも繰り返されるでしょう。政治的に不安定な特定地域に偏在する燃料に依存を続ける限りは、ですが」

 静かに語り始めたのは、物理学者のエイモリー・ロビンスさん(78)である。

 米ハーバード大と英オックスフォード大で学び、30代で非営利のエネルギー研究機関を米国で創設。日本や中国など70カ国以上の政府や企業に環境政策や省エネ戦略を助言してきた。

 76年に提唱した「ソフトエネルギー・パス」は、エネルギー利用の効率化と再生可能エネルギーの活用を軸に、大量消費型の文明に転換を迫る哲学的構想だった。

 それから半世紀。米科学誌サイエンスは2025年最大の科学成果に「再エネの急成長」を選んだ。世界で再エネによる発電量が石炭火力を上回り、やっと時代が追いついたのだ。

 今こそエネルギー界の賢人の言葉を聞きたい。実は日本通でもあるロビンスさん。今春来日した機会に東京都内で会うと、立派なひげを蓄えた口元から厳しい言葉がついて出た。

 「日本は変わるべき時です。解決策は明らかですが、この国ではそれが容易でないことも知っています。障壁は技術でも経済でもなく、政治ですから」

日本特有の神話の誤り

 「政治」とは何か。その話に行く前に斬り込んだのは「日本特有のエネルギー神話」である。「誤りを2点挙げましょう」と…

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