「キッ、キッ」。森の中から国の特別天然記念物、ノグチゲラの鳴き声が聞こえてきた。目をこらすと木々の間をつがいが寄り添うように飛び回っていた。
亜熱帯の豊かな山林が広がる沖縄本島北部の「やんばるの森」では、多様な希少生物が独自の生態系を築く。今年は国立公園に指定されてから10年、世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の登録から5年の節目を迎える。
ノグチゲラはキツツキの仲間で唯一、土を掘って地中の虫を探す。森林伐採や、人間の持ち込んだ外来種の影響で、絶滅が危惧されてきた。しかし近年は対策が進み生息数は回復傾向にある。
5月は繁殖期の真っ盛りだ。木に作った巣穴に卵を産み、つがいで約1カ月かけて子育てをする。森に響く「コンコンコン」という小気味の良い音は、新たな命へとつながっている。
【喜屋武真之介】