米国はイランへの軍事作戦を「壮絶な怒り」と名付けている。「自由」などの道徳的な意義ではなく、感情表現を作戦名に掲げるのは異例だと、文学研究者が指摘していた。憤怒や嫌悪を平気であらわにするトランプ大統領らしい▲一般の人はそうはいかない。むき出しの感情は周囲との摩擦を生み、ハラスメントの原因になる。怒りを上手に制御する「アンガーマネジメント」という言葉も広まった。「腹が立ったら深呼吸して6秒待つ」は実践例の一つだ▲人間関係を円滑にするための「ユーモアマネジメント」という技術もある。それを学術的に考察したのが、保健師で公認心理師でもある大賀佳子さんだ▲青森市内の8病院で働く看護職623人に調査した結果、失敗談を笑いに変えるといった「自虐的ユーモア」を多く使う人ほど、同僚の支援を得やすい傾向が見られたという。「緊張を強いられる職場だからこそ、欠点を明るく認める姿勢が場を和ませるのでしょう」▲ブラックジョークなどの「攻撃的ユーモア」では、こうした効果は確認されなかった。なるほど、自身をキリストになぞらえるようなトランプ氏の居丈高さは、笑えないのもうなずける▲ただ、とっさに気の利いたユーモアを言うのは難しい。「人のユーモアに笑ったり、その言葉を反復したりするだけでもいいんです」と大賀さんが助言をくれた。会話は人と人の間に成り立つ。英語では似たつづりのユーモアとヒューマン(人間)、根っこは同じかもしれない。