最寄りの書店から40キロ ひなびた温泉街にある「ブックオフ」
毎日新聞
2026/5/5 14:00(最終更新 5/5 14:00)
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「山の温泉(ゆ)や裸の上の天の河」。路をまたぐアーチ状の門に、俳聖・正岡子規がこの地で詠んだ句が記されていた。道路脇のそこかしこから湯気が立ちのぼり、かすかに「硫黄臭」も漂う。
山あいを走るJR北上線のほっとゆだ駅から北へ車で約10分、北上山地に抱かれた岩手県西和賀町の湯本地区は、旅館が数軒というひなびた温泉街だ。
その通りから少し入ったところに、コンクリート造りの町営屋内温泉プールがある。
建物に入ると、むっと熱気が押し寄せる。「温泉水を館内循環させていて、冬でも半袖です」。人懐っこい笑顔で、町水泳協会の田中泰江さん(41)が出迎えてくれた。
6コースの25メートルプールや幼児向けプールがあり、隣に日帰り温泉も。そんな住民憩いの場の1階フロアの一角に、廃校の書架を再利用して約3000冊の中古本が並んでいる。
買い取り販売大手ブックオフコーポレーション(相模原市)が手がける「ふるさとブックオフ」の1号店、西和賀町湯本屋内温泉プール店は、2023年8月にオープンした。プールと共に、町水泳協会が運営する。
同社は書店のない自治体を対象に、「本という文化資本の格差を解消すること」を目指してこの取り組みを始めた。事業を担当する上田正一さん(51)は「(書店のない)自分の田舎を思い出し、命名しました」と話す。
原則として…
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