一角崩れると…伝統工芸の分業体制、どう守るか 窯元の警鐘

廃業した釉薬会社から引き継いだロールミルの前に立つ山口典宏さん=三重県菰野町川北で2026年4月30日午後2時41分、荒川基従撮影
廃業した釉薬会社から引き継いだロールミルの前に立つ山口典宏さん=三重県菰野町川北で2026年4月30日午後2時41分、荒川基従撮影

 三重県北勢地方の伝統工芸「萬古焼(ばんこやき)」の窯元「山口陶器」(菰野町)が、今春廃業した四日市市の釉薬(ゆうやく)会社から設備や配合レシピを引き継ぎ、他の窯元への釉薬の供給を始めた。萬古焼に限らず伝統工芸の世界の多くは分業化され、その一角が崩れれば業界全体が成り立たなくなるもろさを抱える。山口陶器の社長、山口典宏さん(51)は中学時代からのラガーマンだが、胸に抱くのは萬古焼産地を守らなければという「フォア・ザ・チーム」の精神だけではない。

釉薬とは

 「釉薬」は陶磁器の表面を覆うガラス質のコーティング。陶磁器に色や質感、光沢を与える重要な役割を果たす。

 山口さんによると萬古焼は粘土、型、焼成前の生地、釉薬、窯元、上絵、問屋、小売りに分業化され、それぞれの高い技術で業界を形成してきた。最盛期の昭和後期には北勢地方に約200軒の窯元があり、それを支える釉薬会社が7社存在したという。だが今は窯元が約40軒にまで減り、比例するように釉薬会社も2社だけになっていた。

 その一つが今春、廃業した。72歳の経営者が3月に突然、病に倒れたからだった。この会社から釉薬を仕入れていた窯元は途端に窮地に陥った…

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