丹下健三が設計を手がけ、将来の重要文化財候補とも言われる旧香川県立体育館(高松市)をめぐり、解体を進める香川県が2012年に行った耐震診断は、建物の耐震性能を低めに見積もったもので根拠として不十分ではないかという指摘が、住民訴訟の焦点になっている。県による解体費支出の差し止めを求める原告側は、建物本体の耐震性の鑑定を求めるとともに、それまでの間、現状を維持するよう証拠保全を申し立てている。
造形支えるPC造の縁梁
旧体育館は1964年完成。同年完成の丹下建築で世界遺産登録を目指す動きのある代々木競技場(東京都渋谷区、重文)などと並び、日本最初期のつり屋根構造の建築物で、和船のような外観から地元では「船の体育館」と親しまれてきた。
本体側面を覆う壁である縁梁などに、あらかじめ引っ張って張力を与えた高強度の鋼材をコンクリートと一緒に固定する「プレストレストコンクリート(PC)造」が採用され、ダイナミックな造形が実現されている。
香川県が2012年に実施した耐震診断では、1階と中2階が目標値をやや下回り「耐震性能に問題あり」との結果が出た。
県は14年に耐震改修工事の入札を行ったが不調に終わり閉館。21年には…
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