突然届く自宅からの強制退去命令 聖地で拡大するユダヤ人入植地

自宅バルコニーに立つズヘイル・ラジャビさん。近所に住み着いたユダヤ人入植者が掲げるイスラエル国旗が見える=東エルサレムのシルワン地区で2026年4月30日午後1時13分、松岡大地撮影
自宅バルコニーに立つズヘイル・ラジャビさん。近所に住み着いたユダヤ人入植者が掲げるイスラエル国旗が見える=東エルサレムのシルワン地区で2026年4月30日午後1時13分、松岡大地撮影

 父の代から何十年も暮らした自宅に対し、突然、退去命令が下される――。そんなことが相次いでいる街がある。三つの宗教の聖地が集まるエルサレムだ。

 この街ではいま、旧市街周辺に住む230人以上のパレスチナ人が極右のユダヤ人の入植推進団体によって強制退去を迫られている。長年にわたり平穏に住み続けてきた住民がなぜ、家を追われる事態になっているのか。

 イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の聖地を擁する旧市街から南に約500メートル。東エルサレムのシルワン地区には急斜面に住宅が建ち並び、イスラム教徒のパレスチナ人約2万人が暮らしている。

 ズヘイル・ラジャビさん(54)の自宅のバルコニーからは、約500年前に建てられた旧市街の城壁が見える。「この景色はいつ見ても特別だ」。誇らしげに語る表情の裏で、ラジャビさんには家を失う現実が間近に迫っている。

 イスラエル当局から立ち退きの通知を初めて受け取ったのは、2015年5月のことだった。1966年に父親がこの場所に居を構えて以来、ずっと住み続けてきたラジャビさんにとって、寝耳に水の話だった。

 明け渡しを求めてきたのは、ユダヤ人の入植推進団体「アテレト・コハニム」。イスラエル建国の48年以前、…

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