連載
一筆半歩
世の中が半歩でもいい方向へ進めばとの思いを込めた記者コラムです。
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五輪招致に思う=水戸健一 /北海道
2026/5/3 05:00 499文字「雪がとけたら、何になる?」 「はるになる」 10年も前になるだろうか。幼稚園児だった長男とのやりとりだ。用意した「正答」をしまい、笑った。暖かくなると思い出す。 新年度になり、物価高対策として札幌市から1人5000円が支給された。5人家族の我が家は指定口座に2万5000円が振り込まれていた。他に
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和解では終わらない=横田信行 /北海道
2026/4/26 05:00 505文字いじめを受けていた旭川市立中2年、広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)の自殺を巡り、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟が3月、旭川地裁で和解し、悲劇から5年で一つの区切りを迎えた。 市は、市長部局が学校・教育委員会と一体となって被害者に寄り添い、いじめの早期発見や重大化の防止を図る「旭川モデル」などの
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マスクのある日常=西本紗保美 /北海道
2026/4/19 05:00 498文字転職で道内を離れてからスギ花粉症を発症し、春先はマスクが手放せなくなった。約6年ぶりに地元に戻り、スギ花粉からの解放に喜んだのもつかの間の3月末、市街地の空気が心なしかかすみ、くしゃみが止まらない。北海道は「避粉地」のはずでは……。 「スギ花粉がかなり飛びましたね」。4月初旬、トリカブトの誤食によ
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人を動かすものは=和田幸栞 /北海道
2026/4/12 05:00 488文字法廷で、70歳の男性被告は無罪判決に声を震わせた。「私、2人の命を奪って……」。共同住宅に火を放ち、管理人ら男女2人が焼死。殺人と現住建造物等放火の罪に問われたが、判決は精神障害を発症していたとして、刑事責任能力を問えないと認定した。 昨年9月に札幌地裁であった判決だ。判決後、弁護人は「(被害者も
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苫小牧駅前はどう変わるか=平山公崇 /北海道
2026/4/5 05:00 506文字「なんて閑散としているのだろう」--。初めて苫小牧市を訪れた6年前の3月、JR苫小牧駅から外に出てそう思った。まちの規模とのギャップに驚いた。 のちに2014年に閉鎖となった巨大な廃ビルが駅前にどっしりと腰をおろしたまま再開発が進まないことを知った。人の流れも鈍くなり、商業ビルの中にはテナントの撤
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人間社会を映す鏡=小林大輝 /北海道
2026/3/29 05:00 486文字温暖な瀬戸内地方で生まれ育った。近所の畑にはミカンの木があり、子どものころは収穫を楽しんだ。近年、こうした果物の木が管理されなくなり、野生動物を人里に引き寄せる原因として全国で問題となっている。「放任果樹」と呼ばれ、行政や市民団体が伐採に追われている。 以前勤務していた群馬県は、世界遺産・富岡製糸
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頑張る人の姿に=伊藤遥 /北海道
2026/3/22 05:02 496文字2024年春、いつも一日の終わりに頭の中で流れるメロディーがあった。「〽今日の仕事はつらかった あとは 焼酎を あおるだけ」。この曲はフォーク歌手の岡林信康さんが1968年、日雇い労働者の悲哀を描いた労働賛歌だが、札幌へ赴任したばかりで仕事に慣れない私にもしっくりくるものがあった。 この歌の流行か
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忘れられない日に=本多竹志 /北海道
2026/3/15 05:00 489文字2021年3月10日に我が家の愛猫が寿命を迎えた。あと2カ月で22歳を迎える長寿だった。「あすで10年」と新聞やテレビで注目されていた日だった。 東日本大震災から11日で15年。我が家にとっても忘れることのない日になった。彼は「忘れられないように」と、この日を選んだのだろうか。 15年前、テレビか
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はこだて賛歌=三沢邦彦 /北海道
2026/3/8 05:00 475文字「♪誰かに住む街 聞かれたら はい 函館と答えます」 リズミカルなメロディーに続き、この歌い出しで始まる「はこだて賛歌」。函館らしさや函館の良さを伝える市民歌だ。 ゴミ収集の合図にも使われる。自分が住む梁川町では月・木曜日の燃えるゴミの日に収集車が曲を流し、慌ててゴミを出したこともある。リズムに合
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飛躍のカギは「SNS」=森原彩子 /北海道
2026/3/1 05:00 499文字昨秋の道高校野球大会で優勝した北照が、19日開幕のセンバツに13年ぶりに出場する。1991年夏の初出場以来、春夏通算で10度甲子園の土を踏んだが、近年は足が遠のいていた。 新チーム発足直後は失策が相次ぎ、練習試合の勝率も低迷した。監督が「史上最低」と発破をかけたチームは、わずか3カ月で春切符をつか
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1強の世界では=高山純二 /北海道
2026/2/22 05:00 481文字自民党の歴史的圧勝で終わった衆院選。道1区で初当選を果たした自民党候補の陣営事務所には投開票日の8日、多くの支持者が集まった。道内の自民党候補に「当確」の一報が入るたびに拍手がわき、本人に当確が出た深夜まで熱気に包まれた。 現行の小選挙区比例代表並立制は1996年、ちょうど私が毎日新聞に入社した年
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生きていたら=谷口拓未 /北海道
2026/2/15 05:00 491文字菓子店の4姉妹の長女、田畑裕子さんはその日、友人と出かけようとしていた。夕飯の残りのザンギを温め直して朝食にし、母から歯医者代を含めて5000円のお小遣いを受け取るとニッコリ笑って「行ってきます」と出発した。 菓子作りを手伝い、妹の面倒も見てくれる愛娘の後ろ姿に、両親は目尻を下げただろう。1996
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現代版「沈黙の春」=本間浩昭 /北海道
2026/2/8 05:00 498文字苦しげな息をしながら死の瞬間を待つゼニガタアザラシ、首をかしげて羽をばたつかせるオジロワシ、海岸線に次々と漂着するラッコや海鳥……。農薬や殺虫剤などの過剰な使用が生態系に深刻な影響を及ぼすことに警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」をほうふつとさせる光景に、近い将来何が起きるのか、嫌な予
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台湾の新聞で考えた日本=後藤佳怜 /北海道
2026/2/1 05:01 487文字昨年末、旅行先の台湾・台北のコンビニで新聞を2紙買った。「聯合報」と「自由時報」のどちらも、1面トップは中国が台湾周辺で実施した大規模軍事演習のニュースだった。 台湾を囲むように艦船を配置した図解を見て、規模の大きさに気が張り詰めた。「帰国便が飛ばないかも」「混乱で公共交通が止まるかも」。注意喚起
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あすの雪、未来の雪=水戸健一 /北海道
2026/1/25 05:00 503文字14日までの冬休みは札幌を離れて道外で過ごした。車で帰宅すると、駐車場は一面の雪。めまいを覚えながらせっせとかき出した。 翌15日は市立小学校の始業式だった。子どもを送り出した後、除排雪業者と会食の機会があり、雪かきの話題になった。前夜は天気予報を見て当初の計画を変え、通学路の作業を優先したという
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丁寧な説明を=片野裕之 /北海道
2026/1/18 05:00 511文字1986年8月30日早朝、トラック7台が試掘機材を次々と運び込む。中断していた調査が「反対派の虚をつく形」で再開されたと当時の毎日新聞にある。 幌延町で、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の貯蔵センター建設計画が公表されたのは84年だった。動力炉・核燃料開発事業団は周辺自治体や知事の反対の中、現地調
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新型スキーに寄せる夢=横田信行 /北海道
2026/1/11 05:00 482文字重い障害があっても自らスキーを操って滑ってみたい。そんな夢が年明け早々、旭川市でかないそうだ。実現を助けてくれるのは、米国の大学が開発した「テトラスキー」。ジョイスティックやマウスピースでスキー板を操作し、口や指が動かせれば自分の力で滑降できるという。 同市のNPO法人「カムイ大雪バリアフリー研究
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クマとデマ=伊藤遥 /北海道
2025/12/21 05:00 486文字11月末ごろだったろうか。読者の男性から1本の電話があった。犬に関する私の記事を読み、感想を伝えてくれるものだった。ありがたく聞いていると、男性は「地震が起きたらクマは冬眠から目覚めるのかな。犬の次はクマについて調べてみてよ」と言った。 その時は深く受け止めていなかったが、約1週間後にギョッとした
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ししゃも荒れ=平山公崇 /北海道
2025/12/14 05:00 495文字低気圧の接近による激しい雨と風の中、日高自動車道を下ってむかわ町を目指していた。途中、車が風にあおられて何度も横揺れし、慣れた道なのにいつもより長く感じるほどだった。この日、室蘭地方気象台は東胆振の各地に暴風警報を出し、町内の最大瞬間風速は24・4メートルを記録。町が条例で「ししゃもの日」と定めた
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眠っている間に=和田幸栞 /北海道
2025/11/30 05:00 471文字初めて生の銃声を聞いた。10月、札幌市中央区の住宅街にヒグマが出没し、現場を取材していた時のことだ。 夕暮れ前の午後3時半ごろ。円山西町の木々は紅葉し、道路脇ではコスモスの花が風に揺れていた。そこに規制線が張られ、ヒグマがいると思われる茂みを市の職員らが警戒している。ほどなくして、発砲音がした。
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