連載
火論
社会部、ワシントン・エルサレム特派員などを歴任した大治朋子専門記者によるコラム。
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がんばれパンチ=大治朋子
2026/5/5 02:01 1014文字<ka-ron> 千葉県の市川市動植物園のニホンザル「パンチ」の映像が交流サイト(SNS)上で拡散されている。 園によると、パンチは2025年7月に生まれたが母親が育児を放棄。飼育員がミルクをやって育てた。オランウータンのぬいぐるみを与えると寄り添うようになったという。 「愛の本質」という心理学の
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金子文子からのバトン=大治朋子
2026/4/28 02:08 1016文字<ka-ron> 上映中の映画「金子文子 何が私をこうさせたか」(浜野佐知監督)を見た。 金子は関東大震災後の1926年3月、内縁の夫・朴烈(パクヨル)と共に皇太子(後の昭和天皇)を殺害するため爆弾を入手しようとしたとして死刑判決を受けた。無政府主義者らが一斉に摘発された、いわゆる大逆事件である。
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安全保障のジレンマ=大治朋子
2026/4/21 02:01 1035文字<ka-ron> 米・イスラエルのイラン攻撃に伴う戦闘は予断を許さない状況が続いているが、改めて感じるのは当事者間の認識や思惑のズレだ。 先日、文京学院大の貫井万里准教授(イラン近現代史)にお話をうかがった。イランで現地調査を重ね、3月に暗殺されたラリジャニ最高安全保障委員会事務局長とは面談経験も
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「悪は善を打ち負かす」=大治朋子
2026/4/14 02:00 1034文字<ka-ron> イスラエルのネタニヤフ首相による発言が、一部キリスト教徒から批判を浴びた。 3月19日の記者会見で首相は、イランの現政権を「野蛮」と呼びこう主張した。「歴史は残念ながら、そして不幸なことに、イエス・キリストがチンギス・ハンに何の優位性も持たないことを証明している」。なぜなら「強く
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米・イスラエル社会の溝=大治朋子
2026/4/7 02:01 1022文字<ka-ron> 戦争をめぐる米国の世論には4種の立場があるという。 基本的に戦争反対の「ハト派」と戦争支持の「タカ派」。これに自軍の死傷者数に敏感な「死傷者恐怖派」と、勝てそうだと考えると戦争を支持する「敗北恐怖派」が加わる。米デューク大学政治学部のクリストファー・ゲルピ准教授らが2004年発表
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戦場を賭場にする=大治朋子
2026/3/31 02:05 1031文字<ka-ron> 博徒が記者に迫る。「記事を書き換えろ。賭けで大損してしまう」 米・イスラエルとイランの戦闘をめぐり、賭博とは無関係のジャーナリストに「いかさま」を強要する事件が起きた。舞台は前回紹介したウェブサイト上の大手予測市場「ポリマーケット」。仮想通貨を使った匿名性の高いギャンブルサイトと
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過熱する戦争ギャンブル=大治朋子
2026/3/24 02:02 1030文字<ka-ron> 「トランプ米大統領は中国をいつ訪問するのか?」「次のアカデミー賞をとる作品は?」 古今東西、未来の出来事は賭けごとにされてきた。昨今のデジタル社会においては仮想通貨(暗号資産)を使った匿名の賭博が人気だという。中でも目を引くのが「戦争ギャンブル」の過熱ぶりだ。 イスラエル国防省な
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人質家族という「鏡」=大治朋子
2026/3/17 02:02 1040文字<ka-ron> ドキュメンタリー映画「ホールディング・リアット」(全国順次上映中)を見た。イスラエルのプロパガンダ映画では。そんな予想は良い意味で裏切られた。 2023年10月7日、イスラエル南部のキブツ(農業共同体)がイスラム組織ハマスに襲われた。拉致された女性の救出に奔走する家族。愛し合いな
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許容ライン低下と草抜き=大治朋子
2026/3/10 02:01 1025文字<ka-ron> 「攻撃力=意志(モチベーション)×能力(ケイパビリティー)」 イスラエル・ライヒマン大学のボアズ・ガノール学長が提唱する算式だ。敵の攻撃力を「意志」と「軍事能力」のかけ算で捉える。攻撃意欲がゼロになることはないし、軍事能力は常に拡充されがち。だから適宜、こちらから攻撃を仕掛けてそ
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「毒杯」を飲んだのは=大治朋子
2026/3/3 02:01 1029文字<ka-ron> 「毒杯をあおるよりつらい」 かつてのイラン最高指導者ホメイニ師が口にした言葉だ。毒杯を飲む、とは一見魅力的に見えるが災いをもたらす行為――。シェークスピアの「マクベス」などにも登場する西洋の表現だ。 ホメイニ師はイラン・イラク戦争が続く1988年、米国から国連停戦決議の受け入れを
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大きな腐敗のリスク=大治朋子
2026/2/17 02:01 1046文字<ka-ron> 大きな腐敗に目を向ける――。 ドイツのベルリンに本部を置く国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」(以下TI)が10日に発表した「2025年腐敗認識指数」は、そんな視点を改めて想起させる内容だった。 TIは世界銀行や世界経済フォーラムなど13種のデータを統合し、各国
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民主主義壊す「工作員」=大治朋子
2026/2/10 02:06 1021文字<ka-ron> 交流サイト(SNS)上の写真や動画が偽物だったとしても、もはや驚く時代ではない。 先日の衆院選でも、野党の代表が資産を没収されて国外に追放されたという虚偽動画が拡散されたり、新党のロゴが中国の政党風にすり替えられたりした。 こうした映像は専用のソフトがあれば誰でも簡単に作ることが
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投票傾向の「謎」=大治朋子
2026/2/3 02:02 1023文字<ka-ron> 米国の大統領選の結果を見ていて、いつも不思議に思うことがあった。民主党候補が勝てば手厚い生活保護を受けられるはずの有権者たちが、なぜ「金持ち優遇」ともいわれる共和党のトランプ氏に投票するのか――。 この謎に正面から取り組んだ調査がある。米コロンビア大学や英オックスフォード大学など
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世界不安の震源地=大治朋子
2026/1/27 02:00 1037文字<ka-ron> 「世界秩序の断絶」と「残酷な現実(ブルータル・リアリティー)の幕開け」。先日開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、カナダのマーク・カーニー首相(元カナダ銀行総裁)が演説の冒頭に語った言葉だ。 米国という超大国による力の支配が進む現状を念頭に「中堅国の連携」を呼びか
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ダークなパワハラ癖=大治朋子
2026/1/20 02:00 1043文字<ka-ron> 「ポンコツ」「人間のくず」「バカ」。横浜市の山中竹春市長(53)が市幹部職員らに繰り返した暴言や中傷だという。 同市の久保田淳人事部長が告発して明るみに出た。市には内部通報制度はあるが人事課が窓口。通報しても自分に情報が来るだけなので、公表に踏み切ったという。 山中市長は横浜市立
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私がルール=大治朋子
2026/1/13 02:02 1009文字<ka-ron> 米大統領執務室での記者とのやり取りだった。自身の世界的な権力に歯止めをかけるものは?と聞かれたトランプ大統領は、「一つある。私自身の道徳心と私自身の精神だ。それが私を止められる唯一のものだ」と答えた。「国際法は必要ない」とも付け加えた。 どうやら「私がルール」ということらしい。
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再びイランとの戦争?=大治朋子
2026/1/6 02:02 1030文字<ka-ron> 米国とイスラエルは再びイランを攻撃するのだろうか。 イランのペゼシュキアン大統領は先月27日公開のインタビューで、米国やイスラエルがイランに「全面戦争」を仕掛けていると語った。その2日後、訪米中のネタニヤフ・イスラエル首相はトランプ米大統領と会談。共同記者会見でトランプ氏は、イラ
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イスラム国の物語感染=大治朋子
2025/12/23 02:08 1024文字<ka-ron> 過激派組織「イスラム国」(IS)がデジタル上で若者を食い物にしているようだ。 先日オーストラリア・シドニーでユダヤ教の祭典を祝う集会を狙った銃乱射事件の容疑者の一人(24)はかつて、ISに関する別の事件でも捜査対象になっていた。 若者の「感染」は各地で起きている。報道によると、パ
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悲しみのハヌカ=大治朋子
2025/12/16 02:02 1033文字<ka-ron> オーストラリアのシドニーで、ユダヤ人を狙ったとみられるテロ事件が起きた。 人気の観光地ボンダイビーチ近くで14日、武装した父親と息子が発砲。15人が死亡し約40人が負傷した。2人は現場で拘束され、1人は死亡、1人は重体だ。 事件の詳細はまだ不明だが、米紙ニューヨーク・タイムズによ
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あの映画の舞台裏=大治朋子
2025/12/9 02:01 1034文字<ka-ron> 映画「ネタニヤフ調書 汚職と戦争」(全国で順次公開中)を製作総指揮した在米映画監督のアレックス・ギブニー氏にオンラインでインタビューした。米アカデミー賞の受賞歴もある彼に、製作の「内幕」を聞いた。 イスラエルのネタニヤフ首相は2019年11月、収賄や詐欺、背任の罪で起訴された。起
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日本、北米、中東で20年余り調査報道を続けてきた経験をもとに、「虫の目」で事象を詳しく調べ、「鳥の目」で俯瞰し、川の流れを読む魚のように時代の潮流をとらえて分析します。