原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定を巡り、東京都小笠原村の渋谷正昭村長が13日、日本最東端・南鳥島について文献調査が行われることを事実上、容認した。国が主導して自治体に調査を申し入れた、初めての事例だ。
核のごみの最終処分場として適地かどうかを調べる文献調査は、選定手続きの第1段階として国が申し入れていた。調査は全国4カ所目。今後約2年かけて地質に関するデータなどを収集・分析する。
調査対象の選定は、従来は地元で機運が高まるのを待ち、調査を望む声を受けてから国が動く「手挙げ方式」だった。しかし、文献調査を受け入れると国から最大20億円が交付されるものの、批判にさらされることが多かった。そもそも、核のごみは原発が立地する自治体や、文献調査を受け入れた自治体だけの問題ではなく、国の責任で選定手続きを進めるべきだといった訴えを受け、国は自ら主導する直接的な申し入れを、小笠原村に対して今回初めて行った。処分方針が定められてから25年以上たっても場所が決まらない中、国が繰り出した新たな一手だった。
適地と推す声の一方で課題多く
南鳥島には一般住民がおらず、反対運動が起きにくいが、実際に最終処分場を建設するにはいくつもの障壁を越える必要がある。
南鳥島が載る太平洋プレートは地質が非常に安定しており、最終処分場の適地だと推す専門家は少なくない。ただ、本土から遠く一般人の立ち入りが難しい南鳥島は、これまで地質調査がほとんどされておらず、文献が少ない。日本大の高橋正樹名誉教授(地質学)も「実際に掘ってみるまでは、最終的に設置できるかどうかは分からない」と話す。
さらに海上を長距離輸送する必要もある。地層処分の費用は約4・5兆円とされるが、巨額の費用が追加で必要になる可能性は高く、現実的ではないとの見方もある。
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【南鳥島】
東京都心から南東に約1950キロ離れた、日本の最東端にある島。東京都小笠原村に所属するが、周囲約1000キロに他の島がない「絶海の孤島」だ。今年に入り、島近海の深海からレアアース(希土類)を含むとみられる泥が採取できたことでも注目された。面積は1・51平方キロで皇居ほどの広さしかない。
一般住民はいないが、海上自衛隊や気象庁、国土交通省の施設があり、計25人前後の職員が駐在している。明治~昭和初期には海鳥のふんに由来するリン鉱石などの開発で、30~50人程度の住民がいたこともあった。