11月3日に投開票される米中間選挙が約半年後に迫る中、トランプ米大統領が支持率の低迷に苦しんでいる。長引くイランとの紛争が追い打ちをかける。大統領を支える共和党と、逆襲に転じたい民主党の攻防は、激しさを増している。
「豊かで強く、誇らしい米国を望むのなら中間選挙で投票所に行き、共和党に投票しなければならない」。トランプ大統領は4月17日の米西部アリゾナ州フェニックスの演説で支持者に投票を呼びかけた。2025年1月に2期目の大統領に返り咲いてから1年余り。この間、大型減税法の成立や強硬な不法移民対策などの「成果」を上げたと強調した。大統領職に加え、連邦議会の上下両院で共和党が多数派を占める状態が続く。
しかし、2期目の就任直後に5割程度あった支持率は低下傾向が続き、40%前後に沈む。ここにきてイランとの紛争が長引き、共和党支持層の支持離れも進んでいる。原油の高騰が長引くインフレに拍車をかける中、物価の「手ごろさ」が争点となり、与党に逆風が吹く。
4月25日には自らが出席した夕食会で銃撃事件が起きたことを受け、「強い指導者である」とのアピールに躍起になった。24年の大統領選では、集会で銃撃される暗殺未遂に遭い、その後、支持率を回復させた。その再現を図りたい思惑があるとみられるが、見通しは晴れない。
民主党も党勢回復は道半ば
民主党は地方選挙で好調な戦いぶりをみせる。昨年11月の南部バージニア州と東部ニュージャージー州の両知事選とニューヨーク市長選で3勝した。南部フロリダ州では3月、共和党現職の辞職に伴う州議会下院の補選で民主党が議席を奪った。
米紙ワシントン・ポストは、トランプ大統領の2期目の政権が発足して以降、これまでに民主党は地方選挙で共和党から約30議席を奪取する一方、共和党は民主党の議席を奪えていないと指摘している。
ただ、民主党の本格的な党勢回復は道半ばだ。政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による各種世論調査の平均で、民主党を「好ましくない」とした回答者は57%を占め、「好ましい」の34・3%を大幅に上回る。
別の世論調査では、党内の次期大統領選の有力候補の中で知名度の高いハリス前副大統領が支持率トップを走るものの、前回の大統領選で完敗したイメージが根強い。
ハリス前副大統領や退任後の今も高い人気を誇るオバマ元大統領らに代わって衆目の一致する新たな「顔役」は不在といえる。今後の党の方針を巡って急進左派と穏健派の党内対立が続き、不透明感も漂う。
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【米中間選挙】
大統領選の中間の年に実施される連邦議会の上下両院、州知事などの選挙の総称。下院(定数435、任期2年)の全議席と各州2人の上院(定数100、任期6年)の約3分の1が改選される。2026年は11月3日に投開票される。上院が補選を含め35議席、知事選は全米50州のうち36州で実施される。
2大政党制の米国では、「保守」の共和党と「革新」の民主党が対峙しているが、中間選挙では、大統領選当時の期待値がしぼむことから、大統領を支える与党が議席を減らしがちだ。大統領が進めたい政策でも、もとになる法律を作るのは議会。野党が議会で多数になると、政治がうまく進められなくなる。