岩手県大槌町で4月22日に発生が確認された山林火災は30日、住民に出されていた避難指示がすべて解除された。ただ、同日時点で鎮圧には至っておらず、消防が消火活動を続けている。焼損面積は約1600ヘクタール(同町面積の1割弱)と、平成以降では国内2番目の規模となった。
現場では連日、上空と地上からの消火活動が続いている。4月28日から降り始めた雨によって山々の至る所から上がっていた白煙の数は減り、場所によっては焦げた臭いも収まった。現地で活動する消防隊員の一人は「本当によかった。消防の力も雨には及ばない」と話す。
延焼被害の規模は、2025年2月に同県大船渡市で起きた山林火災(3370ヘクタール延焼)に次いで平成以降で2番目。
地球環境の専門家である日本大学教授の串田圭司さんは、延焼が拡大した要因に、乾燥と強風の気象条件に加え、現地の険しい地形があると指摘する。山の急な斜面に沿う形で気流(空気の流れ)が上昇し、火が燃え広がる速度が速くなった可能性があるとみる。さらに現地の針葉樹林のマツやスギは油分が多く、燃え広がりやすいという。
串田さんは「温暖化の影響で山林の乾燥が進み、世界的に山林火災が増えている。湿気が多いと言われる日本の気候も変化しており、今後は山火事が頻発する恐れがある」と指摘している。
大規模火災、世界各地で
今回の火災のように、手がつけられないほどの大規模な山林火災が世界各地で相次いでいる。
25年に大船渡市で起きた山林火災では、完全に消し止められたのは40日後。焼けた範囲は市の総面積の約1割に相当した。現場を調査した千葉大学准教授の峠嘉哉さんは、著しい少雨による乾燥状態が主な原因と指摘した。
山火事と温暖化の「悪循環」
25年は海外でも、各地で大規模火災が発生した。問題視されるのが、山火事と温暖化の悪循環だ。地球環境問題を研究するNPO「世界資源研究所」の分析によると、森林の焼失面積は24年に過去最大の1350万ヘクタールを記録した。日本大教授の串田さんは、「山林火災により発生した二酸化炭素(CO2)が温暖化を加速させる源になりつつある」と“悪循環”について指摘している。