三陸海岸が大震災に襲われるよりはるか前のこと。ちょうど今ごろの季節、旅の途中で降りた宮古駅で見た光景が忘れられない。
そろそろ発車しようかという列車を横に、ホームに若い男女が立っている。言葉を交わしたあと彼女の方が乗り込んだ。雪がぱらついていた。春になって新しい生活がはじまり、一人は田舎をあとにしたのだろうか。そんな想像をめぐらしていた。「なごり雪」という歌がつくられてしばらくしてからのことだった。
−−別れの春、季節外れの雪がホームに降る。時の流れのなかで、いつのまにか大人になってきれいになった君がいま、ふるさとへ帰ってゆく。つらい別れだが見送るしかない。
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