「新潮45」の休刊騒ぎで思い出した小説がある。出版業界の小説をめぐる内幕を描いた東野圭吾さんの短編集「歪笑小説」(集英社文庫)に収められたうち二つの短編だ。
「伝説の男」は、あの手この手で売れっ子作家の原稿をゲットする某出版社の編集長が主人公だ。編集長は、原稿をもらうために女性作家にプロポーズまでしてしまう。「読めば感動できる本と、中身はスカスカだけれど売れる本。どっちが我々出版社にとってありがたいかは、いうまでもないだろう」と編集長は新米編集者を諭す。
「小説誌」は、小説誌の編集部が舞台。編集部員が、職場見学にきた中学生に「単行本にならない連載もある」などと問い詰められる。編集部員は「書く媒体を用意しないと作家の奴(やつ)らは書かないんだ」「その登場人物は前々回死んでいるので書き直してと言ったら逆ギレして『今後おたくの出版社とは付き合わない』、あいつらは二言目にはそういうんだ」とぶちキレてしまう……。
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