新型コロナウイルスの感染拡大で、三菱スペースジェットの開発は事実上の中断に追い込まれている。6月以降、三菱航空機が持つ試験機はすべて試験飛行を行っていない。大きな理由は開発費の制約があるからだ。航空当局から安全性の承認を得る「型式証明」を早期に取得したい考えは変わらないが、試験飛行ができなければ、いったん立ち止まるしかない。
データの再検証などを優先
現在、飛行できる試験機は、米国の拠点・ワシントン州モーゼスレークの空港に4機、名古屋空港に1機の計5機がある。ただ、米国の4機は古い設計によるもの。名古屋空港にある試験機(10号機)は、飛行制御機器の配置を変更して1月に完成した新型機だ。型式証明を取るためには10号機の試験飛行を繰り返す必要がある。
新型コロナ問題が起きる前、三菱航空機は10号機を早期に米国に送り、型式証明の取得を急ぐ構えだった。しかし、新型コロナの感染の広がりで経由地の空港が使えなくなり、米国行きを断念せざるをえなくなった。
さらに、コロナの影響で親会社・三菱重工業の収益も悪化し、今年度の三菱航空機の開発費は600億円と前年度の半分程度になった。人員も大幅な削減を余儀なくされており、資金的な余裕はまったくない。
そこで当面は多額の経費がかかる試験飛行を行わず、地上で事務的にできる作業を優先するという判断になった。つまるところ、スペースジェットの試験機はおカネがないので飛べない状態なのだ。技術者は、これまでの計3900時間の試験飛行で積み上げたデータの再検証や、国土交通省と米連邦航空局に提出する書類の精査などを行っている。三菱航空機は「限られた予算の中で最適の…
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