イスラエル編(6)
パレスチナ自治区のベツレヘムから、10キロほどの距離をエルサレムに戻る乗り合いバス。途中の検問で、乗客の大半を占めるアラブ人(パレスチナ人)だけがバスを降ろされ、イスラエルへの入域許可証を厳重にチェックされる光景に、この国の拠って立つ構造そのものの難点を感じた筆者。諸宗教が呉越同舟するエルサレム旧市街へと分け入る。
四つの地区に分かれる旧市街
2019年5月初旬の午後4時過ぎ。エルサレム旧市街北面のダマスカス門を、南にくぐった。1キロ四方ほどの旧市街は、オスマントルコ時代に建設された城壁に取り囲まれており、中は基本的に迷路状の歩行者だけの空間である。
旧市街では、直感的に興味を引かれた方向にどんどんと分け入るのが面白い。筆者は、観光客がおらず人間臭い営みがある裏路地に引かれがちなので、門から真南の方向に旧市街の真ん中を貫く通りを早々に逸れ、東側に分け入っていった。
旧市街は文字通り「田」の字状に、四つの地区に分かれているのだが、まずはその右上部分の「アラブ人地区」に吸い寄せられたことになる。ちなみに左上がキリスト教徒地区、右下がユダヤ人地区、左下がアルメニア人地区だ。また右下の角の「神殿の丘」はムスリムの聖地で、住人はいない。
丘の上に設けられた旧市街は複雑に起伏している。路地の左右は石壁で、その上にアーチがあったり、路地自体が建物の下をトンネル状に通っていたりしており、見通しというものがまったくきかない。石段になった路地を上っていくと、小さな子どもの集団に行く手を遮られた。男の子は戦うヒーローのようなポーズをし、女の子はスマートフォン片手におしゃまな…
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