星野リゾートの各施設では、社員がフロント、調理、食事提供、客室清掃をすべてこなす「マルチタスク」で働いています。これは、調理場や仲居さんなど、業務ごとに別の人が担当する日本の旅館・ホテル業界では、極めて異例な働き方です。現場の反発を押し切り、星野さんがマルチタスクを採用した理由とは。
星野佳路の家業のメソッド
かつて、星野リゾートの社員は平均で1日14時間も会社にいました。しかし、給料は8~9時間分ほど。それなのに誰も文句を言わない。なぜかと言えば、実際に仕事をしているのは5時間前後だったから。会社にはいるが、仕事をしていない「手待ち時間」が多かったのです。
ホテルの中で行われている労働量を業務ごとに分析すると、時間帯によって大きなばらつきがあります。午前と夕方には、チェックインとチェックアウトの大きな山ができ、昼間は客室清掃の業務が多くなる。一方、調理と食事提供は、朝食と夕食の時間帯が忙しい。
調理と食事提供では通常、昼間に手待ち時間が生じてしまうため、伝統的な旅館では朝6時から午前11時ごろまで働き、いったん帰宅して、夕方にまた出勤してもらうという「中抜けシフト」が行われています。しかし、これでは人材採用が難しい。拘束時間が長いため、就職先としては敬遠されてしまいます。
一方、客室清掃は昼間の3~4時間で仕事が終わります。しかし、8時間分の給料を出さないと、他の勤め先の方が「収入が良い」となって人材が集まらないので、8時間分の給料を出さないといけない。その結果、人件費率が…
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