株主になったら フォロー

株主総会の4割で「警察官が待機」総会屋対策今も?

中西和幸・弁護士
株主総会特別警戒本部の看板を掲げる警視庁組織犯罪対策3課の捜査員=千代田区で2021年5月20日午前9時35分、林田奈々撮影
株主総会特別警戒本部の看板を掲げる警視庁組織犯罪対策3課の捜査員=千代田区で2021年5月20日午前9時35分、林田奈々撮影

株主総会のリハーサル(5)

 株主総会の質疑のリハーサルで大事なのは、質問する株主役です。役員の回答を受けて、その場で次の質問を考えることも必要になります。会社の事業や業績に対する理解、それに会社法の知識も欠かせません。役員にそんたくした質問をするとリハーサルの意味がなくなります。なかなか難しい役目です。

 株主にふんして質問をするのは社員か顧問弁護士が多いです。そのほか、株主総会の事務を業務として請け負う信託銀行などの行員が質問をすることもあります。「証券代行」と呼ばれる人たちです。彼らは質問を練ってきますし、株主総会に関する法律の知識は弁護士並みです。ただ、役員に対してキツイ質問はあまりしません。

 社員だとなおさら社長や役員に気を使ってしまい、厳しい質問にならないケースがあります。質問された役員から目をつけられないように、かぶり物で顔を隠すなど社員を変装させて質問をさせた大手企業もありました。その際、社員は声色を使って質問をしていました。

警察官が待機

 変装社員に質問させた事例は、もう何十年も前の話です。当時は「総会屋」という勢力が横行していました。株主総会で騒ぎ立てて会社を脅し、金をせびっていたのです。このため、リハーサルで質問者が大声を上げて脅し、役員が対応する練習をしていました。

 その後の会社法改正と警察の取り締まりで総会屋はほぼいなくなり、今はそこまで迫力のあるリハーサルはしなくなりました。ただし、株主総会の当日は、警察官に待機してもらうことが多いです。

 株式事務に関して情報交換や研修を行っている「全国株懇連合会」という組織が行った昨年のアンケートによると、回答し…

この記事は有料記事です。

残り569文字(全文1265文字)

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。