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海外転勤中の不動産課税「納めすぎ」を取り戻すには

広田龍介・税理士
 
 

 東京都の会社員Kさん(52)は2019年11月から5年間の予定で海外に転勤することになった。Kさんはこれを機に、買ってから10年になる自宅マンションを売却し、新築マンションを購入してそれを賃貸に出す計画を立てた。

10年住んだ自宅マンションを売却

 Kさんは当初、転勤中は空き家になるマンションを賃貸に出そうと思っていたが、東京のマンション価格が高騰していたことから、この機に売却しようと考え直した。

 マイホームを売る場合は、所有期間に関係なく、譲渡所得から最大3000万円を課税対象から除外できる控除特例がある。この特例を使って譲渡所得税を抑え、売却で得た資金を新築マンションに組み替えることにしたのだ。

 新築のマンションは5年間の定期借家契約とした。海外転勤中は賃料を得て、転勤明けの帰国後は、我が家にスムーズに戻れる予定だ。

 自宅マンションは19年10月に売買契約を取り交わし、20年5月に買い主に物件を引き渡すことになった。新築マンションは19年11月に購入契約を結び、20年6月に完成物件の引き渡しを受けるスケジュールになった。

 海外に1年以上住む予定の人は税法上「非居住者」になる。非居住者への課税の仕組みは居住者と異なる。日本にある不動産を売却したり、賃料を受け取ったりする場合、まず「税金の前払い」として源泉徴収される。その後、確定申告をすれば、源泉徴収された税額が精算されるという二段構えになっている。

 非居住者は、日本で納税や申告の手続きをするのが難しいため、自分に代わって手続きをしてくれる「納税管理人」を選任するのが普通だ。非居住者になるKさんも出国前に納税管理人を選任し、…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。