オーナー経営者のTさんが77歳で亡くなった。Tさんは健康上の理由で2年前に仕事の第一線から退いたが、会社に貸し付けている自己資金3億円を早く整理したい、と急いでいた。そのままでは、自分に万一のことがあれば相続財産として課税されてしまうからだ。そのための相続対策を固め、実行に移そうとした矢先で、まさに無念の死だった。
妻と「二人三脚」で会社経営
Tさんは30歳の時、会社を起こした。20代は個人事業主としてバリバリ働いてきたが、「そろそろ会社経営にした方がいいのでは」という妻のアドバイスもあり、思い切って事業を法人化した。
会社では、Tさんは本業に注力し、余剰資金は妻が管理・運用するという「二人三脚」の役割分担ができた。資金運用は、賃貸アパートやマンションを購入し、賃料収入を得る不動産事業が柱となった。固定収入が得られれば、将来、Tさんが高齢になって仕事ができなくなった時も心強いと考えたからだ。
不動産事業が拡大すると、新たな物件を購入する資金が不足してきた。その際は、金利負担が生じる銀行融資は避け、もっぱらTさんの自己資金を会社に貸し付けて対応してきた。
こうしてTさんから会社への貸付金は膨らんだが、Tさんは生涯現役をモットーとしており、引退までに会社の事業収入と家賃収入からゆっくり返済すればいいと考えていた。
ところが、10年ほど前にこの見通しが崩れてきた。あれほど元気だったTさんが、すぐ息切れを起こすようになり、思うように動けなくなったのだ。病院の検査で心臓に障害が見つかり…
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