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異次元緩和の袋小路「あわよくば2%」に期待する異様

山本謙三・元日銀理事、金融経済イニシアティブ代表
日本銀行=東京都中央区で2019年9月、後藤豪撮影
日本銀行=東京都中央区で2019年9月、後藤豪撮影

日銀金融政策の罪と罰(1)

 岸田政権の発足を受け、日本銀行の金融政策に変化があるかどうかが注目されている。異次元緩和の導入から8年半。物価目標2%は、一度として達成されていない。日銀自身も、緩和の中身を大きく変えてきた。しかし、日銀は金融正常化にかじを切ったわけではない。

 もともと異次元緩和は、「国民のインフレ心理を高めること」を狙いに、二つの柱を据えていた。一つは、政策目標を実現する手段である金融調節の目標(ターゲット)に「資金供給量」を掲げ、国債を大量に購入することだった。

 もう一つは、物価目標の達成期限として「2年以内」を明示し、断固たる姿勢をアピールすることだった。しかし、インフレ心理は一向に高まらなかった。物価目標は実現せず、むしろ副作用が目立つようになった。当初のもくろみは、完全に外れた。

当初の「2年以内」を撤回

 これらを受け、日銀も調節目標を「資金供給量」から「長短金利」に切り替えた。物価目標の達成期限としていた「2年以内」も撤回し、期限の明示自体をとりやめた。直近の日銀の経済見通しによれば、物価上昇率は2023年度でも1%程度にとどまる見込みにある。

 当初「やれることはすべてやる」とした日銀だったが、「粘り強く金融緩和を続ける」姿勢に転換した。「粘り強く」とは聞こえはいいが、要するに、いつ目標が達成されるかは分からず、何をもって達成できるかもはっきりしないということだ。金融政策は、いよいよ行き詰まった。

 しかし、日銀は、物価2%を唯一無二の目標とする姿勢だけは変えない。5年前に掲げた調節目標「短期金利マイナス0.1%、長期金利0%」も堅持する。「長期金利0%」とは、財政支出の拡大などで長期金利に上昇圧力がかかる時は、上昇圧力を抑えるために日銀が受け身で国債を買い続けることを意味する。国債購入の量的なメドこそ示さなくなったが、「財政支援」にますます傾斜する構図に変わりはない。

8年で400兆円超す国債購入

 あたかも財政の力に懸け、あわよくば物価が2%に達する機会が訪れることを期待しているかのようだ。しかし、目標達成の当てがあるわけではない。異次元…

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元日銀理事、金融経済イニシアティブ代表

 1954年福岡県生まれ。76年東大教養学部を卒業し、日銀入行。企画局参事役、ニューヨーク事務所長、金融機構局長、理事などを歴任し、金融政策や金融システム安定化などを担当する。2012年に退職し、18年までNTTデータ経営研究所会長。現在は自身で設立したコンサルタント会社、オフィス金融経済イニシアティブ代表