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東京都内の一等地「まさかの開発手法」に70代兄弟は?

広田龍介・税理士
 
 

 M家の2人兄弟は、東京都内の一等地に建つ5階建ての双子ビルのそれぞれの棟に分かれて暮らしている。かつて2人が親から相続で引き継いだものだが、兄弟2人とも70代となり、そろそろ自分たちの相続が気になっている。そこで「この双子ビルをどうしようか」と相談を始めた。

弟「借金をするのは不安」

 双子ビルは、2人の父親が相続対策として40年前に建てたものだ。もともと230平方メートルあった土地を115平方メートルずつ二つに分筆し、それぞれに5階建ての賃貸併用ビルを建てた。財産を兄弟平等に分け、将来は、お互いが自由に運用したり、売却したりできるようにという親心だったらしい。

 その遺志を継ぎ、兄弟でそれぞれの棟の土地建物を相続し、そこで生活してきた。気が付けば月日は流れ、兄弟ともビルを建てた当時の父親の年齢をすでに超えた。自分たちの相続対策を考えなければならない時期だ。しかも双子ビルは老朽化が目立ってきた。兄弟2人は「さてどうしようか」と頭を悩ませていた。

 そんなころ、不動産会社からビルの建て替えの提案があった。建て替えること自体については兄弟とも異存はなかったが、その方法となると意見が割れた。

 不動産会社は、2棟それぞれを別々に建て替えるよりも、敷地を一つにまとめて、そこにマンション1棟を建築するのが、効率的で資産価値も高くなるという。

 兄は乗り気になった。

 しかし、弟は二の足を踏んだ。都内一等地で立地は申し分なく、提案がもっともであるのは承知している。だが、そのプランでは、建築費用が高くなり、自己資金ではまかないきれず、借り入れが必要になる。先のことはわからない。借金を抱え、将来、家族…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。