芸能人やプロスポーツ選手が「滝行(たきぎょう)を受けた」と話題になることがある。滝行に挑戦する一般の人も少なくない。年末年始は人気の時期だという。東京都西部の檜原村にある滝行スポットを、大寒が近づく1月中旬に訪ねてみた。人々はなぜ滝に打たれるのか? 思わぬハプニングも起こったその日の模様をお伝えする。
気温0度、水温2度
「払えたまえ、清めたまえー」。奥多摩山域の檜原村数馬地区にある「龍神の滝」に、叫び声のような「唱え言葉」が響く。指導役の僧侶の指示を受け、南秋川沿いの土俵ほどの大きさの滝つぼで、滝に打たれながら岩に背を当てる。滝は土砂降りの雨のようだ。手を合わせて唱え言葉を3度繰り返す。時間にして10~20秒。1人ずつ順番に入る。
この日は男性6人で、白のはちまきにふんどし姿。滝つぼから出ると全身の震えが止まらない人もいたが、この寒さではそれも当然だ。
滝は落差約18メートル。滝つぼは水深30センチほど。滝つぼ周辺の気温は0度、水温は2度だ。昼間でもほぼ日が当たらず、滝の周囲にはところどころに氷が張り、つららも下がっている。筆者はダウンジャケットを着ていたが、それでも寒けを感じる。
1人が終えるごとに拍手が起こり、「がんばった」と声がかかるが、まだ序の口だ。ここの滝行は3回入るのが作法。唱え言葉を繰り返す1回目が一番短い。水に慣れるためという。
滝の周囲に氷が張る中……
滝行は2回目がメインで、身を清める。通常1分半ほどで、指導役の僧侶が般若心経を唱える間、滝に耐える。この日は50秒~1分で終わらせることが多かったが、全員が2回目をやり遂げていた。
だが、ある男性が滝つぼに入り、岩を背にしようとしたその時だっ…
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