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盛岡の農園「パティシエをつかむ」学者肌社長の戦略

櫻田弘文・クエストリー代表取締役
サンファームが栽培するリンゴ「ローズパール」。ほどよい酸味が加工向きだ=筆者提供
サンファームが栽培するリンゴ「ローズパール」。ほどよい酸味が加工向きだ=筆者提供

 盛岡市に全国のパティシエから頼りにされる農園「サンファーム」がある。同社はサクランボなどの観光果樹園を拡大し、さらにパティシエ用に特化したリンゴの栽培を得意とする。観光果樹園とパティシエなどへの直販を新たな売り上げの柱に育て上げた同社社長の吉田聡さん(54)の取り組みに迫る。

パティシエのバックアップ企業に

 サンファームは10年ほど前から、リンゴ栽培に力を入れている。世界に流通するリンゴは400品種ほどあるが、同社はそのうち約90品種を栽培する。

 特徴は、酸味の強い品種が多いことだ。その狙いは、菓子の種類でリンゴの品種を使い分ける本格志向のパティシエのニーズをつかむためだった。また、甘みの強い品種が主流となるなか、青森などの名産地でない後発の同社が独自性を発揮する方法を模索した結果でもあった。

 加工時に水分が出にくい品種やジャムに加工する際に早く煮溶ける品種などを栽培できるようになると、口コミで評判が伝わり市場が広がった。現在、約90人のパティシエや料理教室の講師と取引する。希望に応じた糖度や酸味のリンゴを作れることも強みだ。パティシエからの信頼は厚く、菓子の新商品の味見を依頼されることも多い。

 最近は、リンゴの皮むきやカットなど下処理を済ませて納品することもある。パティシエの負担軽減や都心店の作業スペースの狭さに配慮した対応だ。吉田さんは「いわばOEM(相手先ブランドによる受託生産)のようにパティシエのバックアップ企業になることを目指しています」と話す。

サクランボ狩りの観光果樹園

 同社は盛岡市都南地区で11代続く農家だ。現在は観光果樹園を2カ所運営する。盛岡市の南に位…

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クエストリー代表取締役

1955年山梨県生まれ。日本大学卒業後、78年に販売促進の企画・制作会社に入社。2001年、クエストリーを設立して独立。中小企業経営者向けの「クエストリー・ブランディングクラブ」を主宰する他、数多くの専門店や飲食店のブランディングを実践的に指導している。