宝飾店を取り巻く課題は少なくない。
バブル崩壊以降、縮小傾向にあるとされる市場規模。顧客の高齢化やファッションのカジュアル化。若者カップルの中には、婚約指輪や結婚指輪を“省略”する人たちも出てきた。そこへ追い打ちをかけたのが新型コロナウイルス感染症の拡大だ。
全国の多くの宝飾店が経営の模索を続ける中、業界内で独特の立ち位置を築いてきた店が富山市にある。宝石の買い付けからオリジナルジュエリーの製作、オーダーメードやリメークまで手がける「J.C.BAR」(ジェーシーバール)だ。
今回は同社の専務で、全国でも数少ない1級ジュエリーコーディネーターの資格を持つ嶋直樹さん(46)の取り組みを追いかける。
全国で43人しかいないジュエリー専門家
ジェーシーバールは1997年、嶋さんの父で現社長の龍人さんが創業した。龍人さんはもともと妻の実家の宝飾店を手伝っていたが、後に独立。床屋だった物件を居抜きで借り、4人がけのテーブルと小さなレジカウンターから店をスタートさせた。
2003年には現在の店舗に移転。住宅展示場のモデルハウスだった建物を改装し、当時はまだ珍しかったサロン形式での接客を始めた。ショーケースを並べるだけの店も多いなか、客は玄関で靴を脱いで入店し、お茶を飲みつつ会話も交わしながらジュエリーに触れることができる。フレンドリーな接客も喜ばれ、次第に固定客を増やしていった。
一方、嶋さんは高校卒業後、東京のホテルで接客の仕事に就いた。このときは家業に対する思い入れもなかったという。ところが就職3年目の99年、店を手伝っていた母が大病を患ったことを機に帰郷。結婚して妻とともに家業に入…
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