永田町、鈍いのではないか。ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害、生活困窮などに直面する女性への支援を強化する新法が今国会で成立したのに……。細田博之衆院議長の女性記者に対するセクハラ疑惑のことだ。
週刊文春5月26日号は、細田氏が深夜に女性記者を自宅に誘うなどのセクハラ行為を繰り返していると報じた。ワイド特集の中の短い記事だった。細田氏は「全くの事実無根」と抗議。
翌週の同誌6月2日号は「『うちに来て』細田議長の嘘を暴く『セクハラ記録』」を掲載。4ページで大反論した。「添い寝するだけでいい」などと言われた記者3人、自民党職員、カードゲーム仲間の女性へのセクハラ疑惑を報じた。細田氏は訴訟も辞さない構えだ。
セクハラ撲滅にどこまで真剣か
永田町にはセクハラがあふれていたので正直、驚かなかった。が、事実なら取材する側に対する力関係の利用であり、腹立たしい。岸田文雄首相は国会で「議長が適切に対応されると思っている」との答弁を繰り返すだけ。
立憲民主党は議長不信任案を提出する見通しだが、参院選にらみの国会末政局がらみ。永田町がセクハラ撲滅にどこまで真剣なのか疑問だ。すねに傷を持つ議員が与野党問わず少なからずいるから、と私はふんでいる。財務省事務次官のセクハラ問題では超党派の女性国会議員の動きがあったが、今回動きは鈍い。
被害を訴えた女性記者らに対して、嫌ならきっぱり断ればいいとの声があがっている。そのような人はもちろんそうではない人にも今、ぜひ読んでほしい小説がある。井上荒野さんの「生皮(なまかわ) あるセクシャルハラスメントの光景」(朝日新聞出版)だ。
「生皮」に描かれた“セクハラの光景”
小説講座の人気男性講師・月島光一は、元受講生の柴田咲歩からレイプ被害を週刊誌に告発される。咲歩は7年前、月島にホテルに呼び出され、3回にわたって性行為を強要された。
当事者だけではなく、月島の妻と娘、咲歩の夫、月島の指導を受けた芥川賞女性作家や月島を擁護する高齢女性受講生。加えて俳句会で講師のセクハラを受けた女性、SNSで被害者批判を発信する男子大学生らまで、告発に触発された人々…
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