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出産育児一時金増額へ「かえって費用増す?」懸念とは

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

 出産した人に健康保険から支給する「出産育児一時金」(現行42万円)が2023年度に増額の見通しになった。出産費用は上昇しており、政府集計では19年度で平均46万円と一時金支給額を上回る。子育て世帯の負担は重く、増額は歓迎だろう。ただし、増額に伴い、かえって出産費用が上がるのではないかという懸念もある。なぜか。そこには出産費用やその負担をめぐる複雑な事情がある。

13年据え置きを「大幅増額」へ

 日本は国民皆保険で、日本に住む人は何らかの健康保険に加入する。出産育児一時金は、出産した人が、加入する健康保険から一定の支給を受ける公的制度だ。

 健康保険には、大企業の会社員や家族らが加入する組合健保▽中小企業の会社員や家族らが加入する協会けんぽ▽公務員や家族らが加入する共済組合▽自営業者やフリーランスが加入する国民健康保険――などがある。

 妊娠や出産は病気ではないため、出産費用は自費負担が原則だ。帝王切開や吸引分娩(ぶんべん)など「異常分娩」は健康保険が適用されるが、正常分娩は適用されない。そこで出産費用の経済的負担を軽減するため、出産育児一時金を設けている。

 現行制度では、妊娠4カ月(85日)以上の人が出産すると、子1人につき原則42万円を支給する。内訳は、基礎額40万8000円と産科医療補償制度の掛け金1万2000円。産科医療補償制度とは、出産時の医療事故で重い脳性まひとなった赤ちゃんと家族に補償金3000万円を支払う制度だ。

 支給額は、出産費用の動向を踏まえて改定する。09年10月に現行42万円になってから13年にわたり据え置かれているが、近年、出産費用は上昇している。

 厚生労…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。