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77歳資産家「交際相手に財産を」遺言書のうっかり

広田龍介・税理士
 
 

 Gさんが75歳で亡くなったとき、その最期をみとったのは、30年連れ添ってきたY子さんだった。二人は仲むつまじく、夫婦だと思っていた人が身内のなかにも多かったぐらいだが、実は婚姻関係はなく、Y子さんは「内縁の妻」だった。

亡くなる1年前に遺言書

 何かの予感があったのだろうか。亡くなる1年前、Gさんは自筆証書遺言を作成していた。そこには簡潔に「すべての財産を内縁の妻Y子に遺贈する」とあった。

 相続財産は、自宅のマンション1戸と事業に使っていた土地建物と現預金。さらに、土地建物を購入した時の銀行借入金が債務として残っていた。

 Gさんに子はない。きょうだいは妹だけだが、すでに亡くなっていたため、妹の娘2人が代襲相続人となった。だが、兄弟姉妹やその代襲相続人には遺留分(最低限保証されている遺産取得割合)がないため、遺言書通り、Y子さんが全財産を取得することになった。

 Gさんが遺言書を残したのは、Y子さんへの30年間の感謝の思いと、今後の生活を考えてのことだろう。その気持ちを形にした素晴らしい対応だったと思う。

 ただし、税務に携わる税理士の立場としては、ひとつの疑問が残った。Y子さんに全財産を遺贈することを決断するくらいなら、なぜ婚姻関係を結ばなかったのだろうか、という疑問だ。

相続税制「配偶者に手厚い特例」

 婚姻関係になくても、夫婦同然の生活を営む「内縁関係(事実婚)」であれば、法律上は「婚姻(法律婚)」に近い形で扱われる。例えば「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という民法上の同居義務や扶養義務は認められ、内縁解消時には財産分与の請求もできると考えられている。

 だが、税制上、事実婚には法律婚同等の権利は保障されない。税制では、配偶者を保護する特例規定が…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。