高齢化時代の相続税対策 フォロー

おいが行方不明で「遺産分割協議できず」相続対応は?

広田龍介・税理士
 
 

 Aさん(94)は、2世帯住宅に娘婿(70)と2人で生活している。20年前、娘家族がAさん夫婦と同居してくれることになり、Aさんの所有地に娘婿が建設費を出して2世帯住宅を建てた。当時は「にぎやかになった」と大喜びしたものだが、その後、Aさんの妻と娘が亡くなり、Aさんと娘婿の2人だけになってしまった。

登記簿「所有者欄」で驚き

 娘家族と同居するにあたり、Aさんは住宅の建設費を負担するつもりだったが、娘婿が「資金は自分が出す」とこだわったので、顔を立てることにした。2世帯住宅の1階にはAさん夫婦、2階には娘夫婦と息子の3人家族が住むことになった。

 娘夫婦の息子は間もなく大学を卒業、就職を機に家を出た。3年前にAさんの妻が亡くなり、昨年には娘が病気で亡くなった。

 高齢のAさんは相続対策として、娘婿から2世帯住宅の建物を買い取って、不動産を一体化させたいと考えている。そこで建物の登記簿謄本を取り寄せたが、所有者欄を見て驚いた。建物が「娘婿が5分の1、その母親が5分の4」で持ち分登記されていたからだ。

 Aさんは、娘婿が建設費をすべて負担したものと思い込んでいたが、どうやら母親の資金援助に多くを頼っていたらしい。

 だが、母親は3年前に亡くなっている。母親の持ち分は、建物の共有者で、実際そこに住んでいる娘婿が相続するのが筋だ。それなのに、いまだに相続登記がされていないとは、どういうことなのだろうか。

海外移住した兄の子は「生死も不明」

 そこで、Aさんは思い切って娘婿に尋ねてみた。すると、それなりの事情があるとわかった。

 娘婿は2人兄弟の弟で、兄は5年前に亡くなっている。兄には2人の子がお…

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税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。