全国紙の地方の取材拠点が減るなか、地方メディアの役割が気になっていた。そんな時、石川県の政界や地域社会の深層をあぶり出したドキュメンタリー映画「裸のムラ」を見た。製作は石川テレビ。描かれていたのはまさに「ムラ社会」だった。
映画は、県政界の一大イベント、知事交代劇に焦点を当てた。印象的だったのは、政治とメディアとの関係を浮き彫りにしたシーンだ。
知事を7期28年務めた谷本正憲氏の後継、馳浩氏が3月の知事選で当選し、就任記者会見に臨む。地元記者らは質問に先立ち「おめでとうございます」と言うのだ。メディアは中立であるはずなのに、ムラ社会の“村民”を自認しているようだ。知事と一部メディアのなれあいを象徴するように思えた。
監督は地元テレビ局員
映画の監督は、石川テレビのディレクター、五百旗頭幸男さん。富山県のチューリップテレビのニュースキャスター時代、富山市議会の政務活動費不正受給問題を追った映画「はりぼて」を監督し、話題となった。が、局内で自由にドキュメンタリーを作りづらくなり、石川テレビに移籍したという。
移った先で担当した石川県庁で抱いた違和感が、「裸のムラ」の発端だ。違和感の正体について、この映画のプロデューサー、米澤利彦さんは「県政界の知事を頂点とした圧倒的な力関係。そして為政者と一部メディアとの癒着」とパンフレットで解説している。
そこで、五百旗頭さんは、知事が君臨する県政界・行政、外部からやってきた家族らを追跡。そんたくと同調圧力にまみれた「ムラ社会」の空気を浮き彫りにし、「少数者」の暮らしにくさを告発した。
こんな場面も。谷本氏の「知事選不出馬」を、圧倒的な県内シェアのある北国新聞が“スクープ”した。県議会に先立って一部メディアにだけ不出馬を伝えた理由を会見で聞かれ、谷本氏はうそぶく。「取材に来られたのでお答えしただけ」
そう言えば、国葬の元首相も自らの改憲案について聞かれ、「読売新聞を熟読して」と答弁した。ムラ社会は、日本全体に広がっている。
目立つ地方…
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