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自治体にキャッシュレス化を迫る「銀行の反乱」の切実

渡辺精一・経済プレミア編集部
 
 

変わりゆく「決済」(4)

 自治体への税・公金の納付はキャッシュレス対応が遅れていたが、ようやく弾みがついてきた。2023年度は固定資産税や自動車税などに全国共通QRコードを導入する。スマートフォン決済が利用しやすくなり、自治体の事務コストが下がることが期待される。なぜ今、キャッシュレス対応を急ぐのか。それには、自治体と金融機関の関係が変わりつつあるなど、複雑な事情が絡んでいる。

法制度が違う「コンビニ納付とクレカ払い」

 生活シーンでは、自治体に税・公金を自分で支払う場面が意外に多い。

 サラリーマンの場合、所得税は会社が源泉徴収し、年末調整もするため、確定申告しない限り、国税を「自分で支払う」感覚は薄い。

 だが、地方税は、自治体が税額を計算して本人に伝える「賦課税」が多い。毎年4月になると自動車税や固定資産税の納付書が送られてくる。

 それをどんな方法で支払うのか。

 個人の場合、税・公金の納付は、自治体や金融機関の窓口払いや口座振替のほか、現金自動受払機(ATM)▽ネットバンキング▽コンビニ収納▽クレジットカード払い▽スマホ決済――などの方法がある。ただし税・公金の種類によっては利用できないものもある。

 また、自治体によっても扱いが異なる。20年時点で市町村の導入率は、コンビニ収納が74%で、カード払いは15%、スマホ決済は35%にとどまる。

 キャッシュレス対応が遅れた背景には二つの問題がある。

 ひとつは、法整備の事情だ。

 地方自治制度には、税・公金など自治体の出納事務は、自治体に代わって金融機関が行う「指定金融機関制度」という独特の仕組みがある。出納事務は複雑多岐で、自治体…

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経済プレミア編集部

1963年生まれ。一橋大学社会学部卒、86年毎日新聞社入社。大阪社会部・経済部、エコノミスト編集次長、川崎支局長などを経て、2014年から生活報道部で生活経済専門記者。18年4月から現職。ファイナンシャルプランナー資格(CFP認定者、1級FP技能士)も保有。