A子さん(52)は従業員80人の機械部品メーカーで経理を担当するパート社員です。地方銀行を退職後、専業主婦を経て、10年前の入社時に示された時間給は1000円でした。その後、毎年少しずつ昇給し、現在は1200円ですが、この時間給に疑問を感じています。
A子さんは「あなたは仕事ができるから、時間給はわが社のパート社員で一番高くしています」と昇給のたび、経営者から言われてきました。ただし、A子さんの仕事量と責任は、時間給の上昇幅を超えているように感じています。
入社時のA子さんの契約は、正社員で経理担当のB子さんの補助業務をするというものでした。しかし、5年前にB子さんが退職してからは、A子さんがB子さんの業務の大半を引き継ぐことになり、人員の補充はありませんでした。
正社員の経理業務を引き継いだため、業務量はかなりあります。A子さんは責任感が強く、頼まれた仕事は断り切れません。家庭の事情で残業ができないA子さんは、朝早めに出勤したり、昼休みも早めに切り上げたりして対応せざるを得ません。社内にA子さんの仕事を代替できる人はいないため、有休もほとんど取れない状況です。
同期入社のパート仲間は?
一方、同じ時期に入社した工場勤務のパート仲間の話では、工場勤務の業務は未経験でもすることができ、一人一人の明確な役割はなく、人数も多いため有休も取りやすいようです。
時間給も最低賃金の上昇と共にアップしており、10年前は800円だった時間給が、今年の10月以降は1120円になったと聞きました。もともと時間給が高いA子さんに10月の昇給はありませんでした。
A子さんに工場勤務の経験はなく、経理の仕事とどちらが大変なのか正直わかりません。ただ…
この記事は有料記事です。
残り928文字(全文1651文字)
特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







