A子さん(38)は数カ月前から地方都市の会社のコールセンターでカスタマーサポートの仕事をしています。同じ時期に入社した明るく話好きの同僚・B子さん(37)との接し方に悩んでいます。
1年ほど前、A子さんは配偶者の転勤でこの町にやってきました。それまでは東京都内の外資系の会社でシステム開発の仕事をしていました。前職では職場の人間関係はドライで、他人の私生活には踏み込まない雰囲気がありました。
B子さんは地元の出身です。職場内にママ友が数人いて、すぐに職場にもなじんでいました。子どもがおらず、地元の人と付き合いがほとんどないA子さんとは対照的でした。
「実家は何をしているの?」
A子さんは他人と一定程度の距離がある方が心地よいと感じています。ひとりでいることも全く苦ではありません。ひとりでいることが多いA子さんをB子さんは気遣ってくれたのか、昼休みになると「一緒にお昼を食べましょう」と声をかけてくれるようになりました。
この会社では昼休みを交代でとることになっています。昼食は同じ職場の4~6人程度でとることが多く、皆、同年代の子育て中の女性です。このため食事中の話題は、子どもの話を含む家庭内の話が中心でした。
他人の私生活に興味がないA子さんは、適当に聞き流していました。ところが、ある時、A子さんに話が振られました。
A子さんの配偶者の職業、配偶者とのなれそめ、前職の仕事、どこで育ち、出身校はどこか、実家は何をしているのか――など、入社時の面接でも聞かれなかったようなことを皆が口々に聞いてきます。
さすがに実家の職業まで答える必要はないと考え、言葉を濁しましたが、その日はどっと疲れてしまいました。翌日は…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







