政府は家計の資産形成を支援する「資産所得倍増プラン」を掲げ、2024年に少額投資非課税制度(NISA)を大幅拡充する。そこで懸念するのが、資産運用を担う金融業界の姿勢だ。本来は「貯蓄から投資へ」の旗振り役のはずだが、顧客よりも自らの利益を優先しがちで、国民が安心してお金を託すには課題が大きい。岸田文雄首相は資産運用業の「抜本的改革」が重要として、金融庁に具体案の策定を指示した。
大手金融グループの系列関係
資産所得倍増プランは、家計が持つ現預金を投資に振り向け、成長を後押しするとともに、家計の資産所得を増やす狙いがある。
柱はNISAの拡充だ。非課税期間を無期限とし、投資枠は年360万円、生涯で1800万円に広げる。5年後にはNISAの口座数を現在の1700万から3400万へ、買い付け額は現在の28兆円から56兆円へ倍増する目標だ。
プランは岸田首相が22年5月、ロンドンで講演した構想がもととなり、NISA拡充も官邸主導で推し進めた。その肝いり政策の実現に向け、岸田首相は4月26日の経済財政諮問会議で「資産運用業を抜本的に改革することが重要」として改善策を指示した。
そこには、政府がせっかく「貯蓄から投資へ」の環境整備を整えているのに「肝心の金融業界のガバナンスや運用能力が追い付いていない」といういらだちがみえる。
資産運用業の問題とは何か。
資産運用業は、投資信託などの運用商品を作って運用を担う「運用会社」や、それを販売する銀行や証券など「販売会社」などからなる。
だが、日本は固有の問題を抱えている。運用会社は銀行や証券などを中核とする大手金融グループの系列が多い。世界の大手運用会社では独立系が主流なのとは対照的だ。
販売会社には、投信の販売手数料で稼ごうという誘因が働く。実際、顧客に頻繁に…
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