「今すぐ契約しろ。ここにクルマのキーを置いていけば2倍の20万円を払う。他店には行くな」。約2年前、中古車販売大手ビッグモーターの店舗を訪れた東京都内の50代の会社員は店員にこう言われ、恐怖に近い威圧感を感じたという。
東京都内で単身赴任中だった会社員は突然、自宅のある地方都市へ転勤を命じられた。自宅には家族のクルマがあるため、都内で使っていた自分のクルマを売却しなくてはならなくなった。
会社員はドイツの高級乗用車BMWを所有していた。ある中古車販売店を訪れると、買い取り価格は10万円と言われた。
不本意だった会社員は、次にビッグモーターの大型店舗を訪れた。冒頭の発言は、そこで会社員が店員から受けた言葉だ。
20万円でも不本意だった会社員は、もう1軒、大手の中古車販売店を訪ねるつもりだった。ところが、ビッグモーターの店員から「今すぐ契約しろ。他店には行くな」と言われ、戸惑った。
「本当なら、もう1軒回って買い取り価格を比較したかったが、ビッグモーターは強引な態度だった。引っ越しまで時間がなかったので、仕方なく、言われた通り契約せざるを得なかった」。毎日新聞の取材に会社員はこう答えた。
契約後に「水没車」と言われ提訴のケースも
これは消費者庁や国民生活センターが中古車売買で注意を呼び掛ける典型的なケースだ。「査定時に強引に契約させられ、クルマを持っていかれた」という苦情は、「契約後すぐにキャンセルを申し出たら、高額なキャンセル料を提示された」というトラブルなどとともに、数多くの相談が寄せられている。
こんなケースもある。クルマを査定してもらい、店員から買い取り金額の提示を受け、売却する契約をした。このクルマで以前、軽い接触事故を起こし、修理歴があることは伝えていた。ところが数日後、「予想以上の修復歴が見つかったので減額または解約する」と一方的に言われた。この場合、減額または解約に応じなければならないのか。
答えは「ノー」だ。「プロである事業者が事故歴の…
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