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「ジャニーズ・歌舞伎・宝塚」この三つに共通するもの

山田道子・元サンデー毎日編集長
劇団員の急死について記者会見する宝塚歌劇団の木場健之理事長(中央)ら=兵庫県宝塚市で2023年11月14日午後5時、長谷川直亮撮影
劇団員の急死について記者会見する宝塚歌劇団の木場健之理事長(中央)ら=兵庫県宝塚市で2023年11月14日午後5時、長谷川直亮撮影

 宝塚歌劇団の劇団員女性が急死したことについて、歌劇団が11月14日会見した。「長時間の活動に上級生からの指導が重なり、心理的負荷となった可能性は否定できない」などと謝罪した。この会見を聞きながら「『JKT問題』って、知ってる?」と問いかけた友人の言葉が浮かんだ。

頭文字をとって「JKT」

 「JKT」とは、ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)、歌舞伎、宝塚歌劇団のアルファベットの頭文字をとったものだ。

 旧ジャニーズ事務所(J)をめぐる問題は、英BBCが3月、ジャニー喜多川元社長による性加害問題のドキュメンタリーを放映したことがきっかけだった。元所属タレントらの告発が相次ぎ、国連人権理事会の作業部会の調査も入る。「ジャニーズ」の名前消滅に至ったけれど、いまも収束する様子はない。

 歌舞伎(K)では、週刊誌「女性セブン」(小学館)が5月、市川猿之助被告のセクハラ、パワハラ疑惑を報道した。猿之助被告は、両親に向精神薬を服用させ、自殺を手助けしたとして、自殺ほう助の罪に問われた。セクハラ、パワハラ疑惑の真偽は不明だが、歌舞伎界の慣習などが知られることになった。

 宝塚歌劇団(T)に関しては今年2月、週刊文春が宙(そら)組の劇団員女性が先輩から「いじめ」を受け、ヘアアイロンを当てられ額にやけどしたとする記事を掲載。劇団員は9月末、兵庫県宝塚市で亡くなっているところを発見された。

 劇団員の遺族側の弁護士が11月10日記者会見し、「死因は長時間労働や、複数の上級生による暴言などのパワハラにあった」とし、歌劇団と運営する阪急電鉄に謝罪と補償を求めた。そして、同14日の歌劇団の会見。遺族側は再び会見し、歌劇団側がいじめやパワハラを認めなかったことについて「納得できない」と反論し、歌劇団が第三者委員会を設置する方向だ。

家父長制と民主主義の未熟さ

 「JKT問題」に共通するのは何だろう。毎日新聞10月27日朝刊が、ジャニー喜多川氏による性加害問題を専門家に聞いた。堀正嗣・熊本学園大教授は子どもの権利が侵害される背景を次のように語っている。

 まず、日本特有の事情として長く続いた家父長制をあげた。「男性が女性を、年長者が年少者を、それぞれ支配する慣習だ。日本人の意識に今も根強く残っている」と。

 もう一つの背景として指摘したのは、民主主義が成熟していないこと。「欧米では市民革命により勝ち取ってきた」が、日本は戦後、米国から与えられた。英国では声を上げて議論する意識が強い。一方、日本では「世間…

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元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。