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羽生結弦さん離婚公表 気になる“お相手”という呼び方

山田道子・元サンデー毎日編集長
羽生結弦さんの突然の離婚はX(ツイッター)で発表された
羽生結弦さんの突然の離婚はX(ツイッター)で発表された

 「未来を考えたとき、お相手に幸せであってほしいという思いから、離婚するという決断をいたしました」

 フィギュアスケートの五輪金メダリスト、羽生結弦さんが11月17日、X(ツイッター)で離婚を発表した。8月4日の結婚発表から105日。

 羽生さんは、結婚相手や親族、関係者に対し「さまざまなメディア媒体」で誹謗(ひぼう)中傷やストーカー行為、許可のない取材や報道があったことを離婚の理由に挙げた。こうしたことから自身や結婚相手を守ることが難しくなったからだそうだ。

 メディアが離婚に追い込んだとしたら悩ましい。報じた毎日新聞11月19日朝刊は「毎日新聞記者は羽生結弦さんの結婚相手について、本人や家族への取材はしていません」とのおことわりを記事の最後につけた。こうした釈明はかなり異例。今後の取材活動に差し障りがないかと懸念した。

さまざまな見方

 国民的プリンスの“報道被害”による離婚。さぞかし羽生さんに同情一色になるかと思いきや、そうでもない。

 ジャーナリストの江川紹子さんは、メディアプラットフォーム「note」で、「取材や報道に『許可』は必要か」と疑問を呈した。そして、行き過ぎた「加害」をしたメディアがあるなら、名称やどのような行為をしたかを明らかにした方がよいのではと主張する。同感だ。

 日刊ゲンダイデジタル(11月25日配信)は「羽生結弦に『妻を守り切れなかった男』のレッテル」との記事を掲載。「海外に移住すればいいのに。すぐ『守れません!』って匙(さじ)を投げるのはダサい」などのSNS上のバッシングの声を紹介した。

 週刊文春(11月30日号)では、離婚決断の背景を深掘りする記事に精神科医が登場。「お相手よりご自身や肉親を優先した印象を受ける」「お相手は一般人になった。ボロボロになっても結婚相手を守り抜くべきだったのではないか」と指摘した。

 「妻は守られるべき存在」との意識が羽生さんの発表にちらつくのには私も違和感があった。一方で、羽生さんへの「妻を守り切れず、男を下げた」といった見方にもひっかかる。

なぜ「お相手」?

 羽生さんの投稿で注目したのは、結婚した女性を「お相手」と呼んだこと。「相手」に「お」をつけたのには、「守る」と言いながら突き放した感じも抱く。一瞬だが、冷たさも感じた。なぜ…

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元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。