業務改善命令から5年(3)
不正融資をめぐる解決に向けた交渉が長引くなか、スルガ銀行が「対応状況」と題した新たな文書を公表した。文書のなかで同行は、交渉先の被害者同盟のメンバーが保有する中古賃貸アパート・マンションのうち638物件について「収支黒字物件が約4割に上る」との推計を示した。これに対し、被害者同盟と弁護団は「根拠が何も示されておらず、ありえない推計だ」と猛反発している。
文書はスルガ銀行が11月22日に開いた投資家向け説明会で公表し、ホームページに掲載した。表題は「シェアハウス以外の投資用不動産向け融資についての当社対応状況」。不動産をめぐる不正融資のうち、いわゆる「アパマン問題」の被害者同盟・弁護団との交渉が長期化しており、投資家向けに交渉の現状と姿勢を説明する内容だ。
スルガ銀「638物件を試算」
スルガ銀行は文書で、被害者同盟の約400人が購入して保有する物件が864物件あると指摘した。このうち、同行がレントロール(家賃収入表)を把握している638物件の収支を試算したところ、「いわゆる『収支黒字物件』が約4割に上るとの推計結果となった」と記載している。
さらに「収支黒字物件は、当社との借入金契約通りに約定返済を継続してもプラスの不動産収益が確保できる可能性が高い」「債務支払いを停止する正当な理由があるか疑念がある」と説明している。
被害者同盟と弁護団は「借金返済が困難だ」として銀行への返済を停止してきた。ところがスルガ銀行の文書は、この4割分は返済が可能というのだ。
弁護団「根拠がない」
弁護団は11月29日に東京都内で記者会見し「高値づかみをさせられ、黒字を出す余裕がない物件ばかりだ」と反論した。借金が返せない現実があるからこそ、被害者同盟を組織して解決を求めてきたと強調。「根拠を何も開示していない」として、推計は印象操作だと激しく反発した。
会見には被害者同盟のメンバーも同席した。東京都在住の40代の男性に会見後に話を聞くと、「実態を伴わない『推計』をなぜ出すのか。私の物件は当然黒字ではない。家賃収入が想定を大きく下回り、みな苦しんでいる。推計などせずに、物件の実態を一つ一つ把握したらどうか」と声を上げる。
神奈川県在住の50代女性は「何を精査し、どんな資料を見て推計したのか疑問。ある年に数万円の黒字だったとしても翌年に何百万円の修繕費がかかることもある」とし、黒字は“机上の計算”と見る。
口々に言うのは修繕費の重さだ。築年数が30年以上の物件が多く、水漏れ、エレベーター補修といった修繕費が100万円単位で発生すると指摘する。
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