スルガ銀行 不正の構図 フォロー

スルガ銀とクレディセゾン提携 柱は過去に不正多発の分野

今沢真・客員編集委員
クレディセゾン本社がある池袋サンシャインビルの前でスルガ銀行への出資に抗議する被害者同盟メンバー=東京都豊島区で2023年5月19日、今沢真撮影
クレディセゾン本社がある池袋サンシャインビルの前でスルガ銀行への出資に抗議する被害者同盟メンバー=東京都豊島区で2023年5月19日、今沢真撮影

業務改善命令から5年(4)

 スルガ銀行は今年、クレジットカード大手のクレディセゾンから出資を受け、業務提携した。両社は得意な個人向け事業を中心に「シナジーを創出する」と説明していた。その後、提携は進んだのだろうか。

 両社は5月に出資を発表し、金融庁の認可を受け7月には出資金が払い込まれた。クレディセゾンはスルガ銀行の議決権の15.7%の株式を保有する筆頭株主になり、スルガ側もクレディに5%を出資した。

 11月に両社は中間決算発表に合わせ「資本業務提携の進捗(しんちょく)」と題する資料を公表した。(1)不動産ファイナンスの共同展開を11月開始(2)スルガ銀行による「クレディセゾン保証付き住宅ローン」を10月開始――などを示した。

 この項目は出資発表時に打ち出したものだ。今回は新たに開始時期を明示し、「今後5年間で新規ローン実行額3500億円以上を目指す」と目標金額を初めて掲げた。事業ごとの数字は示さなかったが、不動産ファイナンスの方が金額が大きいという。

個人向けの不動産融資

 では提携の柱となる「不動産ファイナンス」とはどのような中身か。

 両社に説明を求めたところ、クレディセゾンが個人向けに展開している「不動産担保ローン商品」の一部を、スルガ銀行が引き受けるとの話だった。「引き受ける」という漠然とした言葉だったので具体的な説明を求めたが、それ以上の回答はなかった。

 クレディセゾンは従来、投資用物件を購入する個人に「不動産担保ローン」を扱い、大手不動産仲介会社の数社を通じて融資をしてきた。2022年度に新規で1225億円を融資し、同年度末で約7300億円のローン残高がある。

 その商品の一部をスルガ銀行の審査ノウハウも活用して共同開発したという。従来は「クレディセゾン」の名で融資してきた。新たなローンで「スルガ銀行」の名が表に出るかを尋ねた。両社から明確な回答はなかったが、前面に出すことはないとみられる。

「1棟収益ローン」と同じ分野

 説明から総合的に判断すると、クレディセゾンが扱うローン商品の資金の一部をスルガ銀行が融通するようだ。ノンバンクがローン商品を扱う際は、どれだけ資金調達できるかが業容拡大のカギになる。クレディはスルガ側から比較的低コストで安定した資金の融通が期待できる。

 両社は「不動産ファイナンス事業」「コラボレーションローン」と呼んでいるが、このローンは多数の不正融資が見つかったスルガ銀行の「1棟収益ローン」と同じ分野だ。スルガ銀行は金融庁からこの分野で半年間の業務停止命令を受けた。同行はその後ローン取り扱いを再開したが、不正問題が影響し取り扱いは大きく落ち込んでいる。

アナリストの質問

 クレディセゾンが決算発表時に行った投資家向け説明会で…

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客員編集委員

 1983年毎日新聞入社。89年経済部。日銀・財研キャップ、副部長を経て論説委員(財政担当)。15年経済プレミア編集長。24年6月退職し、客員編集委員。16年に出版した「東芝 不正会計 底なしの闇」(毎日新聞出版)がビジネス部門ベストセラーに。ほかに「東芝 終わりなき危機」「日産、神戸製鋼は何を間違えたのか」など。16~18年度城西大非常勤講師。