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50歳シングルマザーが驚いた「息子の年収103万円の壁」

井寄奈美・特定社会保険労務士
 
 

 パートタイマーとして物流倉庫で働くA子さん(50)は10年ほど前に離婚し、大学生の息子のB太さん(19)と暮らしています。息子が「年収103万円の壁」をわずかに超えたため、税金の負担が増えて驚いています。

 B太さんはアルバイトをしていますが、年収103万円を超えるとA子さんの税法上の扶養から外れます。このためA子さんは息子に年間103万円以下で働くように伝えていました。

 ところが先日、B太さんの前年の収入が103万円を超えていると、税務署からA子さんの会社に連絡がありました。A子さんがB太さんの前年の源泉徴収票を確認すると、アルバイト先の収入の合計額が104万円になっていました。

 A子さんが会社にこの事実を伝えたところ、B太さんを扶養家族から外し、前年の年末調整の計算をやり直す必要があるということでした。

 修正前の年末調整では、A子さんの課税額はゼロで、月々の給与から差し引かれていた所得税は全額還付され、住民税の支払いもありませんでした。

 ところが年末調整をやり直したことで、1万8000円ほど所得税が徴収されることとなり、4万2000円の住民税の支払いも発生することになりました。

 A子さんの年収は200万円弱で、社会保険料などが引かれた後の手取り額は月額13万円程度です。元夫からの養育費と合わせ、何とか生活しています。それなのに、息子の年収が103万円を1万円超えただけで、非課税だった税金が6万円も生じたことにA子さんは驚いています。

年末調整のしくみ

 今年も年末調整の季節になりました。年末調整は毎月の給料から控除されている1年間の所得税額を精算する仕組みです。年末調整では税金が戻ってくると認識している人が多いかもしれませんが、その年の途中に扶養家族の変動があった場合などは追加で税金が徴収されるケースがあります。

 税法上の扶養となる「年収103万円以下」の家族がいる場合、給与所得者の…

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特定社会保険労務士

 大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/