先送りは大損?円滑な「実家じまい」の進め方

山口敦雄・経済部
空き家となった住宅の居室=空き家コンサルティング提供
空き家となった住宅の居室=空き家コンサルティング提供

 さまざまな理由で処分できずに放置された空き家の問題が深刻化している。「実家じまい」を円滑に進めるにはどうすればよいのか。

相続した5LDKの実家

 東京・上野で老舗の居酒屋を営む湯浅比登志さん(58)は、2010年に千葉県松戸市の実家でタクシー会社を経営していた父を75歳で亡くした。80代の母親は施設に入っており、姉が2人いるが、長男の湯浅さんが家を引き継ぐことになった。

 実家は築45年くらいの2階建て。5LDKで敷地面積は約250平方メートルと広いが、最寄りの駅から徒歩で10分以上かかる。湯浅さんの自宅も松戸市内にあるが、駅から約3分と便利な場所にある。また、普段は夜遅くまで居酒屋で働くため、店の近くの借家に1人で住んでおり、自宅には月に1度程度しか帰らない。

 このため、実家の売却も考えたが、姉の一人は愛着が強く、「売らないでほしい」と言われた。結局、空き家となり、10年以上が経過した。

 2年ほど前、実家の様子を見に行くと、雨どいの一部が崩れ落ち、雨戸の閉まりも悪くなっていた。

「実家をどうすべきか」。悩んでいたところ、経営する居酒屋で客がキープした酒のボトルに「空き家コンサルティング」と書かれているのに目が留まった。「これだ」。ボトルの持ち主は、東京・銀座でこの会社を経営する金石成俊(42)さんだった。

 金石さんは宅建業や建築業などの免許を持たず、「中立的な立場」で実家じまいや家財の整理、登記や賃貸、売却などの相談に応じている。素人には優良か判断するのが難しい不動産やリフォーム業者、司法書士、リサイクル業者などを紹介するビジネスを手がける。

 湯浅さんが相談に行くと、金石さんは実家の鍵を預かり調査を開始。売却やリフォームのために金融機関からお金を借りるには、湯浅さんへの相続登記が必須となる。未着手だったため、司法書士を紹介し、手続きを行っている。

 部屋数が多いため、金石さ…

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経済部

1974年生まれ。明治学院大法学部卒、同大大学院経営学修士。ビジネス誌「週刊エコノミスト」編集部記者、毎日新聞出版図書第二編集部編集長、学芸部を経て経済部。メガバンク、財界、デジタル庁、経済プレミア編集長を担当。現在、財務省と内閣府を担当。著書に「楽天の研究」(毎日新聞社)がある。