A太さん(45)は従業員3000人ほどの食品会社の人事担当者です。先日、研究所で働くB子さん(26)が上司のC子さん(48)からパワーハラスメントを受けていると相談に来ました。その解決は意外と難しく、A太さんはどうしたらよいか悩んでいます。
B子さんの相談は「研究でミスが重なったせいか、自分だけC子さんから仕事を回してもらえなくなった」というものでした。B子さんは職場で疎外感を感じており、それは自分のミスに対するC子さんの嫌がらせのためだと思っているようでした。
相談を受け、A太さんはさっそくB子さんとC子さん、さらに研究所のメンバー数人に個別にヒアリングを行いました。
仕事ができる上司
その結果、C子さんが研究者として「仕事ができる」という評価は一致していました。ただし、C子さんは自分の研究に集中するあまり、周りからすると、質問や相談をしにくい雰囲気を出しているようでした。
部下がC子さんの指図通りに動かずにミスをした場合、C子さんは部下に声をかけることもなく、ただ、大きなため息をつくそうです。C子さんは周りから「近寄りがたい存在」と認識されているようでした。
B子さんがミスをした時も、C子さんはため息をつくだけで、具体的な改善指導などはありませんでした。その結果、B子さんは自分で問題を解決するしかなく、さらにミスが重なったようでした。
パワハラとならなくても
調査をしてみると、C子さんが意図的にB子さんの仕事を取り上げたという事実は認められませんでした。たまたま研究のローテーションで、B子さんの手が空いただけのようでした。社内の苦情処理委員会で検討した結果、C子さんの言動は「ハラスメントには該当しない」ということになりました。
A太さんがC子さんにその結果を伝えたところ、「私は研究所の中で誰よりも成果を出してます。部下にハラスメントをする時間なんてありません。今後、これまで以上に…
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特定社会保険労務士
大阪市出身。2023年、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。法学博士(大阪大学2026年)。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書(共著)に『労働事件予防の実務』(第一法規)など。http://www.sr-iyori.com/







